IHI(7013)とIHIエアロスペースは10月4日、米ボーイング社と共同で再生型燃料電池システムを民間航空機に搭載し、飛行実証に世界で初めて成功したと発表した。
再生型燃料電池は、充電可能な燃料電池で、エンジンとは独立して電力を供給することができる。副産物は水のみで、省エネルギー化や二酸化炭素排出削減を可能にし、航空機の環境負荷を低減できるという。
今回の飛行実証は、ボーイング社の環境対応技術実証を目的とし「ecoDemonstrator計画」の一環として、米国シアトル近郊でアメリカン航空(AAL)のボーイング737型機を用いて行われた。
フライト試験では、航空機の離陸前から高度上昇中に、燃料電池からの発電による電力供給を実施。巡航飛行時に航空機の電源を用いて充電を行い、その後、再度発電と充電、発電のサイクルを行うことに成功した。
再生型燃料電池の航空機適用技術は、経済産業省が公募した「航空機用先進システム基盤技術開発(航空機システム革新技術開発)」で採択されたプログラムを活用し、2009年度から研究を実施。得られた研究結果をボーイング社との共同研究でのフライト実証試験につなげることで、今回の成功に至ったという。
IHIによると、飛行時の安全をどのように確保するかが、一番重要な課題だったとしている。現時点では、水素ガスを民間航空機に搭載するための基準が存在しないため、航空機の安全性確保のための安全設計基準を検討し、安全性解析やシステム設計をボーイング社と共同で繰り返して行った。今回のシステムでは、安全機能が備えられていることが特徴となっている。
IHIでは今回得られた経験を基に、再生型燃料電池の小型化や大出力化の改良を進め、将来の民間航空機用補助電源の製品化に向けた検討を進めるという。
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