三菱航空機はリージョナルジェット機「MRJ」の米国開発拠点について、9月9日に実施予定だった開所式典を延期する方針を固めた。早ければ1日にも発表する。
*中止が決定(記事はこちら)。
*初号機が小牧を出発し新千歳へ(記事はこちら)。
*初号機が新千歳に到着(記事はこちら)。
米国内でMRJの飛行試験を実施する拠点として、三菱航空機は米ワシントン州モーゼスレイクのグランド・カウンティ国際空港内に「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」を9月に開設。9日にワシントン州知事を招き、三菱重工の大宮英明会長や三菱航空機の森本浩通社長が出席して開所式を開く予定だった。
ところが8月27日に飛行試験初号機(登録番号JA21MJ)のフェリーフライト(空輸)を実施した際、空調システムの左舷用監視装置に不具合が発生。給油する新千歳空港へ向かう際、出発地の県営名古屋(小牧)空港へ引き返した。
不具合が発生した装置を交換後、地上試験を経て翌28日に再度フェリーフライトに向かったが、再び同じ箇所に不具合が発生。新千歳へ向かう途中の秋田上空で小牧へ引き返し、2日連続でモーゼスレイクへのフェリーフライトを断念した。
今回のルートは新千歳で給油後、ロシアのカムチャツカ半島、米国のアラスカを経て、モーゼスレイクへ向かう北回り。ロシアの上空通過権の期限が28日に小牧を出発するスケジュールで切れたため、再度当局へ申請する必要がある。許可を得るには、3週間から1カ月程度掛かる可能性がある。
三菱航空機は故障箇所の原因究明と対策後、寄港先などを調整の上、9月下旬にもフェリーフライトを実施する予定。開所式は機体到着後の開催となる見通し。
ローンチカスタマーの全日本空輸(ANA/NH)へは、2018年中頃に量産初号機を引き渡す見通し。三菱航空機では当初、今秋から米国での飛行試験を開始する予定だったが、夏に前倒ししていた。5機ある飛行試験機のうち、4機を年内に米国へ持ち込む予定だが、フェリーフライトがずれ込む場合、飛行試験を計画通りにこなせなくなる可能性もある。
三菱航空機は8月31日、米国の航空機リース会社エアロリースがMRJ90(標準座席数88席)を最大20機(確定発注10機、オプション10機)発注する契約を正式に結んだと発表した。引き渡しは2018年に開始する見込み。
MRJはエアロリースの発注により、ANAや日本航空(JAL/JL、9201)など計7社から427機(確定受注233機、オプション170機、購入権24機)を受注。航空機リース会社の確定発注は初めて。
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三菱航空機
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