今年のお盆休みはLCCも含め、国際線が好調だ。特に日本人に人気の高いハワイは、9割以上の予約が入り、定番の旅行先としての地位は揺るぎないものだ。人生初の海外旅行や新婚旅行がハワイという人も、多いのではないだろうか。
こうした中、日本航空(JAL/JL、9201)はビジネスクラスに新シートを導入した国際線用ボーイング777-200ER型機の新仕様機「スカイスイート777」を、6月に就航させた。羽田-バンコク線(JL031/034便)を皮切りに、8月4日からは羽田-シンガポール線(JL037/036便)に週5往復投入。そして、2017年1月からはホノルル線へと路線を順次拡大していく。
隣席と会話しやすいビジネス
JALは777-200ERを11機保有しており、東南アジアやハワイなど国際線中距離路線に投入。6月18日に改修初号機(登録番号JA701J)が就航後、2017年度内に全機の改修を終える。JALが国際線で運航するワイドボディー機では、777-200ERが新仕様への最後の改修となった。
座席数は236席で、ビジネス42席とプレミアムエコノミー40席、エコノミー154席の3クラスで構成。エコノミーは横9席の3席-4席-2席配列を採用し、夫婦や恋人同士用の2席、家族連れ向けの3席と4席など、さまざまな乗客のニーズに合わせた。
目玉はビジネスクラスの新シート「スカイスイートIII」で、横1列4席の1席-2席-1席配列。フルフラットシートを斜めに配置するヘリンボーン配列をJALでは初採用し、全席から通路へアクセスできる。
最近のビジネスクラスは、個室感を重視した「スタッガード配列」が主流だ。ビジネスマンの利用が多い路線では好評な反面、カップルでの利用では隣席と話がしにくいという側面もあった。
新シートは、各席ごとのプライバシーを確保するとともに、隣席の同行者と会話が出来る構造を採り入れた。
ベッド長は最大約198センチ、ベッド幅は同74センチ、アームレスト間のシート幅は約51-52センチとなっている。また、全席から通路へアクセスできる。
IFE(機内エンターテインメントシステム)は、787の新仕様機「スカイスイート787」と同じく、最新の「MAGIC-VI」を導入。仏タレス製のシステムで、映画やビデオ、音楽など300以上のプログラムが楽しめる。また、モニターに触れた状態で指を滑らせる「スワイプ操作」に対応している。
無線LANによる機内インターネット接続サービス「スカイWi-Fi」も提供。米パナソニックアビオニクス製の航空機内インターネット接続サービス「eXConnect」を採用する。また、ビジネスクラスのラバトリー(洗面所)には、温水洗浄便座「ウォシュレット」を設置した。
JALが力を入れるホノルル線には、年明け2017年から投入。年初は羽田-ホノルル線と関西-ホノルル線に導入し、同年春からは成田-ホノルル線、中部-ホノルル線にも投入していく。
時刻表の表記は「SS2」で、長距離路線用777-300ERの「SS7」と区別している。
和食にも注力
777-200ERの新仕様機「SS2」導入と同時に、和食にも力を入れた。
今年3月のリニューアル時には欧米路線を中心に提供していた、東京・湯島の和食料理店「くろぎ」の黒木純オーナーシェフがプロデュースするメニューを、SS2による運航を始めた羽田-バンコク線をはじめ、中距離アジア路線でも展開している。
田舎風だし巻き玉子や真鯛の昆布じめなど、弁当仕立ての前菜「薫風(くんぷう)」を用意する。主菜は和風牛タンシチューと、銀ダラの味噌漬けを1皿に盛り付けた。
ご飯は新潟・奥阿賀産コシヒカリ「雪蔵今摺り米(ゆきぐらいまずりまい)」を使用。機内で炊きたてを用意する。
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これまでビジネスクラスは文字通り、ビジネス客を対象としたシート開発がなされてきた。
しかし、2019年春からは全日本空輸(ANA/NH)が首都圏発着のホノルル路線に、エアバスのA380型機を導入し、ファーストクラスも設ける計画を進めており、リゾート路線も上級クラスに注力する時期が訪れている。
JALの「スカイスイートIII」は、ホノルル路線を本丸に据えたとも言える新シート。リゾート路線のサービス競争が、一段と加速しそうだ。
*ビジネスクラスの写真特集はこちら。
*プレミアムエコノミーとエコノミークラスの写真特集はこちら。
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SKY SUITE 777
日本航空
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・JAL、新ビジネスクラス777就航 羽田-バンコク線に(16年6月18日)
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ビジネス編 個室感と隣席との会話両立(16年6月12日)
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