マイルで日本航空(JAL/JL、9201)の羽田-ロンドン線のファーストクラス特典航空券を往復分交換した私は、取材以外で飛行機に乗ることがない。旅は好きだが、飛行機が特段好きなわけでも、乗るのが好きなわけでもないため、光熱費など毎月の公共料金引き落としと取材時の交通費の立て替えなど、クレジットカード利用による「陸(おか)マイル」が、特典航空券に交換したマイルの大半を占める。
使用したマイルは、昨年より4万マイル増えて往復で16万マイル。今回はロンドン近郊で7月上旬に開かれたファンボロー航空ショーの取材で利用したが、当初予定していた7月9日土曜日は空席がなく、前倒しして8日に出発し、ロンドンを16日土曜日に出ることになった。
昨年は羽田発パリ行きJL45便のファーストクラスを、同じく特典航空券で利用した。しかし、羽田のラウンジでカレーなどを食べ過ぎて、肝心な機内食をお腹が苦しい状態で食べることになってしまった。今年はその反省を活かしてスケジュールを組んでみた。
—記事の概要—
・七夕イベント取材で前泊
・専用レーンなき5つ星ターミナル
・朝からカレー堪能
*第1回特典航空券の取得編はこちら。
*第3回ロンドン行き機内編はこちら。
*第4回羽田行き機内とヒースロー空港ラウンジ編はこちら。
七夕イベント取材で前泊
今回はたまたま、前夜に羽田の国際線ターミナルでJALの七夕イベントの取材があった。
取材を終えると、国際線ターミナルを出られるのは日付が変わって8日の夜中0時。都内の自宅まで鉄道では帰れない。かといってタクシーは1万円を超えてしまう。そこで、7日夜からターミナル内にあるホテル「ロイヤルパークホテル ザ 羽田」に宿泊し、朝食をラウンジで摂ることにした。
宿泊した部屋は「コンフォートシングル」で、1泊1万7200円。タクシー代をやや上回る額だったが、深夜に帰宅して早朝に再び羽田へ向かうのであれば、時間の無駄を考えると安上がりと考えた。
部屋の広さは15平方メートルでベッドは長さ2メートル、幅1メートル30センチ。広くはないが、洗面所からは駐機場が見える。原稿を書くのに適したテーブルのない部屋だったが、朝7時まで仕事をするには十分だった。
私は京浜急行で羽田へ向かうことが多いが、早朝は出張客などで想像以上に混雑している。しかし、ホテルにチェックインした夜8時台の列車は、さほど混んでいない。65リットルのスーツケースと、カメラバッグなどを持ち歩くのも苦ではなかった。
今回はやむを得ない理由で前泊したが、せっかくファーストクラスに乗るのであれば、余裕のある移動も悪くない選択肢だ。
専用レーンなき5つ星ターミナル
羽田発ロンドン行きJL43便の出発は昼11時20分。ホテルを出て、JALのチェックインカウンターには朝7時すぎに到着した。赤いじゅうたんが敷かれた、ファーストクラスのカウンターで手続きをしてもらう。
昨年パリ行きJL45便(10時35分発)に乗る際は、朝8時30分すぎに着いたため、ファーストクラスのカウンターには列が出来ていた。このため、隣のJGCカウンター(JGC:JALのマイレージ会員の上位制度)に案内された。朝早い今回は並んでいる人もおらず、ファーストのカウンターでチェックイン出来た。
保安検査場も行列が出来ていなかったので、行列に並んだ昨年と異なり、スムーズに通過できた。
しかし、羽田には欧米では当たり前のように設けられている、ファーストクラス専用のレーンが存在しない。羽田はJAL側の優先レーンが1本しかなく、混雑時間帯はファーストクラス客であろうと、ビジネスクラス客と長蛇の列に並ばなければならない。
普通運賃であれば往復200万円以上支払っている客を、行列に並ばせる羽田の国際線ターミナル。しかし、格付け会社SKYTRAX(スカイトラックス)社の調査では、最上位の5つ星を獲得している。私が調査員だったら、絶対に5つ星にはしないだろう。
ターミナルを運営する東京国際空港ターミナル(TIAT)の経営陣は、何とも思っていないのだろうか。欧米の空港を日ごろ利用している富裕層に、「羽田は5つ星だ」と胸を張って言えるのだろうか。昨年に続いて、道中もっとも疑問に感じたのはこの優先レーンだ。
こうした問題点を指摘すると、これまでTIATの経営陣を取材した経験から、恐らく彼らは「ファーストクラス専用レーンを作る場所がない」と答えるだろう。ならば、なぜパイロットや客室乗務員が利用する「クルーレーン」を、ファーストクラスの乗客のみ使わせるといった発想がないのだろうか。場所がないなら、レーンの運用を工夫すれば済むことだ。
朝からカレー堪能
出国手続きを済ませ、ファーストクラスラウンジへ向かった。昨年訪れた際は欧州路線の出発前とあって、かなり混雑していた。ファーストクラスの乗客以外に、多頻度利用者も条件を満たせば利用できるので、混雑するのは仕方ないだろう。
今回は朝7時30分前の入室だったので、人影もまばら。昨年より1時間早いだけで、室内の印象が全然違う。普段利用するサクララウンジとは異なる、ファーストクラスラウンジの余裕を感じた。
さっそく席を確保し、ふと昨年は断念したマッサージコーナーに立ち寄る。すると、すぐにマッサージを受けられるという。10分ほどのマッサージだったが、毎日20キロ近いカメラバッグを背負って凝り固まった身体が、いくぶんほぐれて楽になった。
そして待望の朝食。まだ8時前なので、機内食を食べるお昼まで十分時間がある。朝食1品目の「JAL特製ビーフカレー」は軽めによそい、続いて鉄板ダイニングで2品目の「ライ麦ガレット」をオーダー。昨年の食べ過ぎを反省し、腹八分目で済ませた。
ラウンジで食べるカレーは、なぜか格別だ。街中を探せば、このカレーよりおいしい店は確かにある。しかし、異国へ向かう飛行機に乗る前に口にすると、よりおいしく感じるのは不思議なものだ。
シェフが目の前で調理する鉄板ダイニングでは、夕方5時半から夕食メニューとして「黒毛和牛&黒豚のハンバーグ JALオリジナルソース」を提供している。いつかはハンバーグも食べてみたいものだ。
食事を終えてからは、窓側の席に移動。搭乗開始時刻の10時50分までは、あと2時間半以上ある。カメラバッグをロッカーに預け、テーブルにMacBook Proを広げた。時間にゆとりを持たせたスケジュールを組んだのは正解だった。
ラウンジ内には靴磨きコーナーや、オーストリアの名門「リーデル」のグラスでシャンパンや日本酒を楽しむコーナーがある。次に訪れることがあれば、時間だけではなく、心にもゆとりを持って利用したいものだ。
次回はいよいよファーストクラスの機内へ。人生二度目のファーストクラスは、左側最前列の1A席がとれた。JALのファーストクラス名物、「幻のシャンパン」とも呼ばれる仏サロン社の「シャンパーニュ サロン」が待っている。
(ロンドン行き機内編につづく)
関連リンク
スカイスイート 777(日本航空)
特集・JALファーストクラスで行くロンドン
(1)特典航空券でファースト往復(16年8月16日)
(3)雲上の1A席で楽しむ“幻のシャンパン”(16年9月12日)
(4)幻のシャンパン「サロン」を飲み比べてみた(16年10月23日)
JALファーストクラスラウンジ
・世界へ旅立つ飛行機眺めて鉄板焼き(14年9月15日)
スカイスイート 777
写真特集・JALスカイスイート777ができるまで
第1回 シート外した機内は広大な空間(14年7月28日)
第2回 新シート244席を手作業で(14年7月30日)
最終回 格納庫離れる最終改修機(14年8月3日)
特集・JAL国際線ファーストで行くパリ(2015年の搭乗記)
(1)特典航空券でファーストクラスに乗ってみた(15年7月24日)
(2)専用ラウンジは食べ過ぎ注意(15年7月25日)
(3)12時間半乗っても疲れない(15年7月27日)
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