ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は7月27日、那覇市内の小学生を対象に職業体験会を那覇空港のLCCターミナルで開いた。普段は近づけない機体のそばなど制限区域内で、航空会社の仕事の醍醐味を体験した。
機体すぐそばで見学
空港を訪れたのは、那覇市立識名(しきな)小学校に通う6年生の女子児童3人。ピーチはこれまで、保育園で航空会社の仕事を紹介したり、老人ホームで出掛けられない人に旅行を疑似体験してもらうなど、CSR(企業の社会的責任)活動を行ってきたが、沖縄県での実施は初めて。今回は学校側から要望があり、3人を受け入れた。
子供たちは午前9時からチェックインカウンターの業務や駐機場での作業などを、ピーチの那覇空港所エアポート&オペレーションコントロール部の高野操(みさお)さんらの案内で見学。ピーチのオフィスでは、出発前のパイロットが質問に答えたり、ターミナル内の国際線エリアでは、入国審査官が審査業務を解説した。
ピーチの客室乗務員は、拠点の関西空港などでは地上旅客係員を兼務している。案内役を務めた客室乗務員の藤井真衣さんは、自動チェックイン機の使い方がわからない乗客の対応など、客室乗務員の仕事とともに地上係員が普段どのような業務をこなしているかを説明していた。
駐機場では、車いすを使う乗客が乗降時に使う「PBL(パッセンジャー・ボーディング・リフト)車」をどのように機体の横に付け、機内と行き来するのかを機体のすぐそばで見学。PBL車の存在を知らなかった子供たちは、説明を聞きながらメモを取っていた。飛行機が出発して子供たちが大きく手を振ると、パイロットもコックピットから手を振り返していた。
「機内アナウンスやりたかった」
3人の子供のうち、ピーチを利用したことがあったのは1人で、台北やソウルへ行ったという。今回の職業体験では当初、機内アナウンスや清掃作業を体験する予定だったが、遅延により実現出来なかった。職業体験を終えて「おもしろかった」と感想を話す子供たちは、「機内アナウンスをやってみたかった」と本音をのぞかせていた。
案内役の中心となった高野さんは、これまでピーチが那覇空港で空の日にイベントを開催する際も、運営を担当していた。「ターミナルの各所には、子供たちが見学に訪れると伝えてあったのですが、入国管理官が好意で解説する時間を設けてくれるなど、予定よりも多くのことを子供たちに知ってもらえました」と喜ぶ。
就航地などで開かれるピーチのイベントに参加するのは2回目という藤井さんは、「子供たちから何を聞かれるのだろうと不安でした」と打ち明ける。「普段は機体のそばに行くこともなく機内に入ってしまうので、私自身も貴重な体験でした」と、楽しんでいた。
ピーチが運航するエアバスA320型機は180人乗り。藤井さんは、これから客室乗務員を目指したい子供に向けて、「毎回違うことがあるので、楽しいことも大変なこともあります。でも、180人乗っていれば、誰か1人は自分の仕事を見ていてくれるはず」と、仕事のやりがいを話した。
ピーチは2014年7月19日に那覇を第2拠点化し、A320を夜間駐機して機体を整備できるようになった。那覇発着路線は6路線で、国内線が関西と成田、福岡の3路線、国際線が台北と香港、ソウルの3路線。また、石垣にも関空から乗り入れている。
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