日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する整備子会社JALエンジニアリング(JALEC)は6月20日、整備の基礎技術を競う「第3回技能五輪」を羽田空港の格納庫で開いた。
JALECは、JAL本体の整備部門とJAL系整備会社を統合する形で、2009年10月1日発足。技能五輪は会社設立後に全社的な催しが開催されていなかったことから、第1回を2013年1月8日、第2回を2014年3月7日に開き、今回で3回目となった。
競技はタイヤ転がしやシート運び、故障箇所の調査など7種目が並行して行われ、いずれもチーム戦。予選には多くの整備士が所属する羽田と成田から500人が参加し、本選には130人が進出した。女性2人も本選に進んだ。
実務に合わせチーム戦
「ジェネラル部門」はタイヤ転がしは、途中でセーフティーワイヤーをボルトヘッドに掛けるなどの作業も実施する競技で、1チーム3人で参加。整備士が求められる基本的な技能が審査された。
「シート部門」は1チーム4人で、1列3席のエコノミークラスのシートを2人1組で運び、決められたシートピッチで設置後、ヘッドレストやシートベルトを交換した。
「電装部門」は、はんだと基板でLED点灯回路の作成と回路の不具合を発見する競技で、1チーム3人で実施。はんだの品質や配線、品質などが審査された。
「板金部門」は1チーム2人で、リベット修理を実施。予め穴開けされた2枚の板にリベット留めし、制限時間内にヘッド側から取り外す時間と状態が競われた。
「締結部門」は1チーム2人で、ボルトの締め付けを実施。目測で使用する工具を特定し、工具箱から選び出して作業開始。ボルトのヘッド側とナット側に一人ずつ立ち、協力してボルトを外して、位置を交代後に締め付けを実施した。
「リークチェック部門」は、1チーム2人。試験台に油圧ホースを取り付け、ホースに5カ所設けられたリーク(漏れ)カ所を特定した。
「シーラント部門」は接着剤の塗布で、1チーム2人。作業指示書に従ってマスキング後、接着剤を塗った。美観点とマスキング点、所要時間で審査された。
いずれの競技も実際の整備作業と同様、技術に加えてチームワークも重要視し、チーム戦とした。
他人の技発見も
技能五輪は3月から準備を始め、5月に成田、6月に羽田で予選を開いた。各競技は6チームから8チームが出場。作業時間の早さだけではなく、仕上がりなども審査されて表彰チームが決まった。
実行委員長の後藤孝臣さんは、前回の優勝チームの一人で、羽田航空機整備センター機体点検整備部第1機体点検整備室の所属。「優勝したことで、実行委員長をやってみようと思いました。前回の資料があまりなかったので、競技が盛り上がったり、技術向上につながるものを、実行委員で考えました」と話す。
「今回の作業は基本的なもの。基本的な作業だからこそ、自分たちが知っているやり方だけではなく、こういうやり方もあるんだな、と発見できるようにしました」と、競技だけではなく、創意工夫を発見し合える場も目指したという。
出場した整備士たちは、コミュニケーションや、時間に追われながらも確実に作業を進めることの重要性を再確認していた。
各部門の表彰者は下記の通り(敬称略)。
第3回技能五輪表彰者
1. ジェネラル部門
エンジン整備センターエンジン整備部試運転課 名樂 知彦
エンジン整備センターエンジン整備部試運転課 菊地 兼一
エンジン整備センターエンジン整備部試運転課 根本 雄太
2. シート部門
成田航空機整備センター運航点検整備部第2運航点検整備室 今上 毅彦
成田航空機整備センター運航点検整備部第2運航点検整備室 藤波 祥成
成田航空機整備センター運航点検整備部第1運航点検整備室 新海 武志
成田航空機整備センター運航点検整備部第2運航点検整備室 細川 淳
3. 電装部門
羽田航空機整備センター機体点検整備部第2機体点検整備室 宮井 亨
羽田航空機整備センター機体点検整備部第3機体点検整備室 加川 恭平
羽田航空機整備センター機体点検整備部第3機体点検整備室 荒川 光太郎
4. 板金部門
羽田航空機整備センター機体点検整備部構造・塗装技術室構造技術課 佐々木 幹
羽田航空機整備センター機体点検整備部構造・塗装技術室構造技術課 米須 秀彦
5. 締結部門
羽田航空機整備センター運航整備部国内運航整備室 宮﨑 裕太
羽田航空機整備センター運航整備部国内運航整備室 山田 篤史
6. リークチェック部門
羽田航空機整備センター機体点検整備部第3機体点検整備室 今村 考宏
羽田航空機整備センター機体点検整備部第3機体点検整備室 關根 均
7. シーラント部門
羽田航空機整備センター機体点検整備部第3機体点検整備室 佐々木 亜希仁
羽田航空機整備センター機体点検整備部第1機体点検整備室 河野 剛志
関連リンク
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日本航空