全日本空輸(ANA/NH)は5月26日、機内で具合の悪くなった乗客の応急処置に協力する、医師の事前登録制度を開始すると発表した。医師がどこに座っているかを客室乗務員(CA)が事前に把握することで、急病の患者に早く対応できるようになる。
登録制度「ANA Doctor on board」は7月に募集を開始し、9月から国際線で運用を開始する。事前登録した医師がどの席を利用しているかをCAが把握することで、機内で体調を崩した乗客がいた場合、機内ドクターコールをせずに医師に協力を要請できるようにする。
登録できるのはマイレージサービス「ANAマイレージクラブ(AMC)」会員の医師で、医師免許と顔写真付きの身分証明書を送付し登録する。登録した医師の協力は任意とする。当該機に医師が乗り合わせていない場合は、従来どおりドクターコールで協力を呼びかける。
6月から導入する訪日客などとのコミュニケーションツール「ANAコミュニケ-ション支援ボ-ド」も活用することで、医療サポート制度を強化する(関連記事)。
ANAは2000年6月から、地上にいる医療スタッフからアドバイスを受けられる「MedLink」サービスを導入。同サービスは米MedAire社が提供する24時間機内医療サービスで、アリゾナ州フェニックスの同社と無線などで交信する。医師の事前登録制度を導入後もMedLinkを継続する。
医師の事前登録制度は、日本航空(JAL/JL、9201)が日本医師会と提携し、今年2月から導入。日本医師会が発行する、IC付きの医師資格証を所持する医師が登録できる。
関連リンク
安全への取り組み(全日本空輸)
MedLink(MedAire)
乗客とのやり取りにiPad導入
・ANA、iPadで訪日客と“会話” タップしてやり取り(16年5月25日)
航空各社と医療
・JALと日本医師会、機内急病人の応急処置 医師登録制度スタート(16年2月3日)
・もしも機内で体調を崩したら? 発生しやすい症状と対策 連載・CREW WORLDのアテンションプリーズ!!(17)(15年8月9日)
・ルフトハンザ、「空飛ぶ集中治療室」長距離路線に 747-8とA380(15年6月23日)