企業, 官公庁, 解説・コラム — 2016年5月23日 13:30 JST

ロールス・ロイス、次期護衛艦にMT30提案 US-2輸出支援も

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 5月14日夜、ボーイング787-8型機の全日本空輸(ANA/NH)向け36号機(登録番号JA878A)が羽田空港へ到着した。ANAを傘下に持つANAホールディングス(9202)が発注した787は、合計83機。2011年9月25日に受領した初号機(登録番号JA801A)は標準型の787-8で、発注済みの36機は14日に到着した機体ですべて揃った。

 ANAが発注した83機の787は、今後受領する機体も含め、すべて英ロールス・ロイス製。トレント1000シリーズが採用されている。

 ロールス・ロイスと言えば、日本では排気量6700ccの「ファントム」のような、高級車のイメージが強い。そうした中、ANAがローンチカスタマーとして大量発注した787は、ロールス・ロイスが持つ航空機エンジンメーカーとしての顔を以前より鮮明にしたと言えるだろう。

 そして、エアバスA350 XWBのエンジンはロールス・ロイスが独占供給。日本の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)が2019年から就航させる。JALはボーイング777型機の後継機として、標準型のA350-900と長胴型のA350-1000を合わせて最大56機導入する。

 日本でも民間航空機の分野で存在感を増すロールス・ロイスだが、防衛分野に目を向けると航空機に加え、護衛艦のガスタービンエンジンも多く採用されている。ロールス・ロイスは今後、日本の防衛分野でどのようなビジネスを展開していくのか。

 防衛航空部門カスタマービジネスのヴァイス・プレジデント、ジョン・スーディング氏と、艦艇部門アジア環太平洋担当のヴァイス・プレジデント、ウィル・エリス氏に話を聞いた。

—記事の概要—
US-2輸出支援「新しい形で協力」
8200トン護衛艦にMT30提案

MT30を紹介するロールス・ロイス艦艇部門アジア環太平洋担当のヴァイス・プレジデント、ウィル・エリス氏=16年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

US-2輸出支援「新しい形で協力」

 787の引き渡しやA350の導入決定で、民間機用ターボジェットエンジンのビジネスが一般の人にも認知されるようになったロールス・ロイス。ターボプロップエンジンにも目を向けると、戦後初の国産旅客機である日本航空機製造YS-11型機に採用されたDART(ダート)や、自衛隊機では哨戒機P-3Cと輸送機C-130、早期警戒機E-2Cが搭載するT56(旧アリソンが開発)、救難飛行艇US-2が採用したAE2100J(同)などがある。

 これらを含めると、自衛隊や海上保安庁の航空機が採用するロールス・ロイス製エンジンは、7種類に及ぶ。

ロールス・ロイス防衛航空部門カスタマービジネスのヴァイス・プレジデント、ジョン・スーディング氏=16年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 自衛隊向けのT56は、IHI(7013)が日本でライセンス生産。スーディング氏は「ターボプロップエンジンは強固なビジネス。日本企業との協力関係を深めていきたい」と話す。

 また、富士重工業(7270)が製造した練習機T-5とT-7も、ターボプロップエンジンのM250を採用している。M250は現在ロールス・ロイス傘下の米アリソンが1960年代に開発したエンジンだが、「今の市場に合致していると思うので、投資を続けていく。富士重工とも継続的な関係だ」と語った。

 民間機用も自衛隊・海上保安庁機用も、サポートの重要性は変わらない。ロールス・ロイスは「ミッションケア」と呼ぶ包括的なサポートサービスを提供。24時間の技術支援体制のほか、部品の管理やフィールドエンジニアの派遣、エンジンの耐用年数管理、教育・訓練など、エンジン関連の整備全般を網羅している。

 一方、政府はUS-2の海外輸出プロジェクトを進めている。しかし、


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