エアライン, 官公庁, 空港 — 2016年4月26日 15:55 JST

羽田の米国昼間帯、ANAに3枠 JALは2枠、深夜もANAに

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 国土交通省は4月26日、羽田から米国への昼間帯定期便について、5便分ある発着枠を全日本空輸(ANA/NH)に3枠、日本航空(JAL/JL、9201)に2枠を配分すると発表した。新設した深夜早朝帯の1枠はANAに配分する。これにより6枠ある米国路線の発着枠は、ANAが4枠、JALが2枠となる。

新規はすべてANA

羽田昼間帯の米国行きで3枠を獲得したANAと2枠となったJAL=16年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国土交通省は2月16日から18日まで、都内で米国の航空当局と協議。羽田空港の昼間時間帯に米国路線が就航することで合意した。

 日米双方に対し、昼間時間帯に5便(往復)ずつ、深夜早朝時間帯に1便(往復)ずつ配分することで合意。現在使用している深夜早朝の発着枠4枠をすべて昼間へ移行し、新たに1便分の発着枠を配分する。

 これにより深夜早朝は発着枠がなくなるため、深夜早朝にも1便分の発着枠を新設。今回決定したのは新設した昼間帯の1枠と深夜早朝帯の1枠で、この2枠をともにANAへ配分した。これまでの4枠は、JALとANAに2枠ずつ配分していた。

 発着枠配分が決定したことで、両社は深夜帯で運航する米国路線を昼間帯へ移行。ANAは新たに2路線開設することになる。

 現在羽田発着の米国路線は、深夜早朝にハワイと西海岸のみ、日米双方が4便(往復)ずつ運航が認められている。2010年10月に羽田が再国際化した際、両国が合意したもので、羽田からサンフランシスコとロサンゼルス、ホノルルの3都市へ、日系2社と米系4社の計6社が運航している。

JALとANAが運航する北米路線(Aviation Wire作成)

 日本側は2社2路線ずつ4路線で、全日本空輸(ANA/NH)がロサンゼルスとホノルルへ、日本航空(JAL/JL、9201)がサンフランシスコとホノルルへ就航。米国側は4社1路線ずつ4路線で、デルタ航空とアメリカン航空がロサンゼルスから、ユナイテッド航空がサンフランシスコから、ハワイアン航がホノルルから乗り入れており、日米8路線がそれぞれ週7便(往復)ずつ合計週56便(往復)となっている。

JAL「残念」ANA「深謝」

 国土交通省航空局(JCAB)は、2012年8月10日に出した「日本航空への企業再生への対応について」という文書(いわゆる8.10ペーパー)で、JALの新規路線開設について「投資・路線計画について報告を求め、その状況を監視する」としている。JALの中期経営計画の最終年度となる、2016年度までの投資や路線の計画についてが監視対象となる。

 国交省は2013年10月、2014年夏ダイヤで増枠される羽田国際線の昼間発着枠のうち、日本側に割り当てられた16枠を、ANAを傘下に持つANAホールディングス(9202)に11枠、JALに5枠と傾斜配分。「(12年度から16年度の中期経営計画に)明示的に位置づけられたものを除き、抑制的に判断する」と、JALの新路線開設に制限を設ける考えを示していた。

 JALは今回の配分について、2013年10月に示された考え方に基づくものとした上で、「配分を決めるのは国交省。仕方がないが、残念だ」との声明を発表。一方、ANAホールディングスの片野坂真哉社長は「深く感謝したい」と述べ、「羽田と成田を有効活用し、利便性向上などに取り組む」とした。

米国側は5枠に4社9路線申請

 米航空4社はは現地時間4月21日、昼間帯定期便の開設を米国運輸省(DOT)に開設を申請。日本側同様、昼間時間帯に5便(往復)ずつ割り当てられている。米国側は4社が計9路線を申請した。

 申請したのはアメリカン航空(AAL/AA)とデルタ航空(DAL/DL)、ハワイアン航空(HAL/HA)、ユナイテッド航空(UAL/UA)の4社で、各社が現在、深夜早朝帯に乗り入れている路線を昼間帯に移すほか、新規路線の開設も申請した(関連記事)。

日米航空各社の羽田昼間帯の申請状況(Aviation Wire作成)

関連リンク
国土交通省
全日本空輸
日本航空
羽田空港国際線ターミナル

日米航空協議
日米航空交渉が合意 羽田昼間便を5便ずつ(16年2月18日)
国交省、都内で日米航空協議 16日から2日間(16年2月12日)
国交省、日米航空協議延期 米当局の申し出で(16年2月8日)
国交省、米当局と羽田昼間枠を協議 2月都内で(16年1月29日)
日米航空交渉、羽田昼間便を継続協議 16年に都内開催(15年12月7日)

米系各社の動き
米航空各社、羽田昼間乗り入れ申請 4社計9路線(16年4月22日)
羽田の昼間帯合意、米系3社の見方二分 デルタ航空「非常に残念」(16年2月19日)

航空各社も期待感
羽田の昼間発着枠、アメリカン航空副社長「非常に期待」(16年2月12日)
ANA篠辺社長、北米-アジア接続需要「変更なし」(16年2月3日)
ハワイアン航空、羽田-ホノルル搭乗率90%超 日米交渉に期待感(15年12月9日)
JAL植木社長、羽田-北米便に期待感 2日から日米航空交渉(15年12月1日)

14年3月の配分
羽田昼間発着枠、全日空11枠、日航5枠 国交省、将来の歪み懸念(13年10月2日)