国土交通省大阪航空局は、第一航空(大阪市浪速区)に対し事業改善命令を3月4日に通達した。運航乗務員への訓練記録の改ざん、フラップ(高揚力装置)の角度を不適切に設定した形態での着陸が発覚したためで、4月8日までの報告を求めている。
大阪航空局によると、第一航空は副操縦士を養成する際の地上訓練で対象者9人に対し、航空法規や当該機体の操作手順の訓練を実施していないにも関わらず、規定通り訓練を実施したように記録を改ざん。このうち3人は訓練を修了した。副操縦士として運航業務に従事させたという。
訓練教官6人に対して、訓練の評価方法など、定められた座学教育を実施していなかった。
機長養成時の飛行訓練でも問題が発覚。規定上、那覇-粟国線で12時間の訓練が必要としているが、訓練対象者2人に対し、飛行時間の長い粟国-久米島-那覇線と、那覇-徳之島線で訓練を実施し修了した。その後、運航業務に従事させていた。
粟国空港など800メートル級の滑走路では、フラップを37度に設定する必要がある。機長2人はこれらを認識していたが、粟国空港では20度での着陸を繰り返していたという。
これらは1月13日から2月16日まで、大阪航空局が実施した同社への立ち入り検査で発覚。大阪航空局は、「運航乗務員への訓練体制の抜本的見直し」「安全意識の徹底とコンプライアンス教育の実施」「安全管理体制の再構築」の3点を求めている。
事業改善命令を受け、第一航空の西川昌伸社長は3月4日に声明を発表。不適切な訓練内容や誤ったフラップ角の設定などを確認した上で、「安全管理システムが適切に機能させることができなかった結果。ご迷惑をおかけした」とした。
西川社長は、これらと2015年8月28日に粟国空港で発生した航空事故との関連については、運輸安全委員会(JTSB)で現在調査中で結果を待つ、と述べるに留めた。
第一航空のバイキングDHC-6-400型機(登録番号JA201D)による航空事故は8月28日、粟国空港で発生した。着陸後に滑走路を逸脱し、滑走路脇のフェンスを超えて停止。これにより、機首と胴体下部などが損傷した。
機体が大修理を要する損傷だったことから、国土交通省航空局(JCAB)は航空事故に認定。乗客12人と乗員2人にけがはなかった。
・15年度上期、航空事故1件と重大インシデント5件 国交省(16年1月18日)