パナソニック(6752)と成田国際空港会社(NAA)は、次世代高速無線LAN「WiGig(ワイギグ)」の実証実験を成田空港第2ターミナル本館3階出発ロビーで実施している。2月26日午後5時30分まで。
WiGigは無線LANの国際規格「IEEE802.11ad」を基にした60GHz帯を用いる規格の一つ。通信距離は最大で約10メートルと、2.4/5GHz帯を用いる既存の無線LANに比べて短いながら、通信速度の理論値は最大7Gbpsと、現在市場で普及している中では最速クラスにあたる「IEEE802.11ac Wave1」の最大1.3Gbpsよりも速い。
パナソニックによると、容量が2GBある2時間の動画を10秒でダウンロードできるという。成田空港での実測値は最大1.8Gbps程度で、体験ブース内の端末全8台が同時に通信した際も「約1Gbps程度の速度が出ていた」(担当者)と、既存の無線LANの理論値に近い値を示した。空港での実証実験は、今回が初めてだという。
また、電波の送受信方向を制御する技術「ビームフォーミング」を用いることで、利用者の端末が置かれた方向に電波を発することができる。電波を送受信する範囲が狭いことから、大勢の利用者がいても電波干渉をコントロールし、通信速度を大幅に落とすことなく通信できる。
WiGigに対応したパソコンやモバイル端末用のチップは、年内に出荷開始を予定。2018年には端末がインターネットへ接続するための小型基地局「アクセスポイント」などに搭載されるとみられる。
成田空港では、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向け、WiGigスポットを整備。既存の無線LANは利用者の増加による電波干渉で、通信速度が落ちていることから、映像などの大容量コンテンツを利用者がストレスなくダウンロードできるサービスの実現を目指す。
・ウェアラブルカメラで空港警備 パナソニック、成田で実証実験(16年2月22日)