川崎重工業(7012)は12月24日、ボーイングの大型機777の後継となる777X用の組立ラインを同社の米国工場に新設すると発表した。既設の建屋を使用する。2017年3月までに整備し、同年5月の作業開始を目指す。同社が米国内で航空機用部品を製造するのは初めて。
米国では貨物扉を製造
米国で製造するのは、777X用の貨物扉。川崎重工の米国法人が所有するリンカーン工場(ネブラスカ州)のうち、およそ2800平方メートルを整備する。リンカーン工場には自動打鋲機(オートリベッター)や自社製の塗装ロボットを導入し、製造を自動化する。
川崎重工は、777Xの前部胴体と中部胴体、主脚格納部、後部圧力隔壁、貨物扉の製造を担当。航空機用製品の生産や組み立てを担う名古屋第1工場(愛知県弥富市)内に、ロボットによる自動化を導入した新工場を建設する。新工場は2016年12月末に竣工し、2017年5月から稼働を目指す。
ANAが20機導入、分担割合21%
777Xは777-8と777-9の2機種からなり、777-9の製造開始は2017年、初号機の引き渡しは2020年を予定。3クラスの標準座席数は777-8Xが350から375席、777-9Xが400から425席、航続距離は777-8Xが8700海里(1万6110キロメートル)、777-9Xは7600海里(1万4075キロメートル)を計画している。エンジンは米GE製GE9Xを採用する。
受注機数は、コミットメントを含めると6社から320機。このうち、確定発注は306機となっている。日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、2014年7月31日に20機の777-9を777-300ERの後継機として確定発注している。
日本の製造分担割合は、現行の777と同じ主要構造部位の約21%。川崎重工のほか、三菱重工業(7011)と富士重工業(7270)、新明和工業(7224)、日本飛行機の5社が参画する。
担当部位は777を基本的に踏襲。三菱重工が後部と尾部胴体、乗降扉を、富士重工が中央翼、中央翼と主脚格納部の結合、主脚扉、翼胴フェアリング(前部)を、新明和が翼胴フェアリング(中・後部)を、日飛が主翼構成品の製造を担当する。主翼の炭素繊維複合材は、東レ(3402)が供給する見込み。
エンジンのGE9Xについては、IHI(7013)が低圧タービン部品などを担当。内装では、ジャムコ(7408)がラバトリー(化粧室)を独占受注している。
今年8月には最初に開発する777-9について「ファーム・コンフィギュレーション」と呼ばれる仕様策定が完了。今後は風洞実験などを実施後、詳細設計を進めていく。
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