カンタス航空(QFA)は現地時間8月23日、ボーイング787-9型機35機の発注を取り消したと発表した。国際線事業が収益悪化の要因となっているため、5年間の再建計画の一環として787の投入計画を見直す。50機の787-9のオプションと購入権は維持するものの2年延期するため、初号機の受領も2年ずれ込み2016年となる見通し。
グループの低コスト航空会社(LCC)のジェットスター(JST)が導入する787-8は、計画通り15機を2013年下期から受領する。787-8はJSTのエアバスA330-200型機を置き換え、捻出されたA330はQFAの国内線へ投入し、現在使用しているボーイング767は退役させる。
今回キャンセルした787の総額は、カタログ価格で85億米ドル(約6700億円)になる。カンタスグループのアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は、「787は優れた航空機で、我々の将来にとって重要なものだ。しかし、状況は発注した数年前と比べて著しく変化した」とコメントしている。
QFAは過去4年間に114機の新造機を導入し、機材更新を実施した。現在の平均機齢は8.3年で、1995年の民営化以来もっとも若く「国際的にも競争力がある」(ジョイスCEO)。国際線の長距離路線は、12機のエアバスA380と、2012年末までに改修が終わる9機のボーイング747-400で運航する。787-9の導入時期が遅れることについては、ジョイスCEOは「国際線部門の再建計画の時間枠に沿ったもの」としている。
同日発表したグループの11年7月1日から12年6月30日までの12年6月期の業績は、税引前利益が9500万豪ドル(約77億5200万円)、純損失は2億4400万豪ドルと民営化以来初の赤字となった。
関連リンク
カンタス航空
・ジェットスター、13年半ばにLCC初の787就航へ シンガポールのハブ機能強化
・カンタス航空、国際線と国内線7月分社へ 国際部門不振で
・カンタス航空、iPad使った娯楽システム導入 豪州国内線用767に