全日本空輸(ANA/NH)は12月2日、日ごろの接遇スキルを競う「第3回 OMOTENASHIの達人コンテスト」を開催した。3人1組で出場するチーム部門と個人部門が開かれ、チーム部門は30チームによる予選を勝ち抜いた2チームが、個人部門は約7100人の客室乗務員(CA)の中から投票で選ばれた上位8人が出場した。
グランプリチームは、乗務第2課所属の谷村綾香さん(07年度入社)と辻尾祐香さん(07年度入社)、佐藤由貴乃さん(10年度入社)による「にこにこ Caring」。個人部門は入社4年未満の「フレッシャーズ層(ジュニア)」と、入社5年目以上の「エキスパーティーズ層(シニア)」を分けて審査し、4人ずつ出場した中から、フレッシャーズは乗務第1課の山田亜沙美さん(13年度入社)が、エキスパーティーズは乗務第7課の小松原由衣さん(05年度入社)が栄冠を手にした。
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チーム部門
チーム部門のコンテストは、東京・大田区にあるANA訓練センターの客室モックアップで実施。ビジネスクラスのシートやギャレー(厨房設備)が設けられ、ANAの役員らが乗客役を演じた。会場内には多くの応援団が詰めかけ、出場者が入場した時から声援が飛び交った。
コンテストの注意点は、毎年恒例となった教官によるダンスで説明。今年はANAが映画『スター・ウォーズ』のキャラクターを描いた特別塗装機を就航させたことから、銀河帝国軍の「ストームトルーパー」などのお面をかぶって登場した。客室乗務員を呼び出す際は、各席に用意したうちわを振ることなど、注意を呼びかけた。
チーム部門の競技内容は、羽田-ロンドン線(NH211便)のビジネスクラスで、コースメニューやドリンクを提供する場面を想定。接客スキルやチーム力、会話力、会社が目指すブランドイメージなどを審査した。また乗客役の一部は外国人客を想定し、すべての受け答えを英語で応対した。
乗客役には篠辺修社長も参加。開催目的について、「実際の客室ではブロックごとに仕事が分かれており、どういう先輩が、どんな風にやっているのかを目の当たりにする機会が少ない。コンテストを通して、目指すべき客室乗務員の姿を、現実の先輩の中で明らかにしたい」と語り、「今年度も1000人ほどの客室乗務員の入社が見込まれるので、若い人たちの目標になってほしい」と思いを述べた。
篠辺社長が座る列は、「にこにこ Caring」のメンバーが担当。コースメニューでは、和食を選んだ篠辺社長は、客室乗務員や隣席の社員と会話を弾ませながら、リラックスした様子でワインとともに食事を楽しんでいた。
グランプリを獲得した「にこにこ Caring」のメンバーは、普段も一緒に乗務している。ギャレー内でも常にお互いの役割分担や進行状況を確認しながら、相手を思いやった行動で乗客役に対するサービスに挑んでいた。
コンテストを終えた佐藤さんは、「緊張していたので、いつも通りにやろうと心掛けました」と話し、辻尾さんは「緊張すると視野が狭くなってしまうのですが、仲間の顔を見て緊張が和らぎました」と振り返った。
谷村さんは、「いつも通りとは言えなかったかもしれません」としながらも、「ギャレーに戻ると、2人とアイコンタクトしたり、何かをすれば“ありがとう”と細かなコミュニケーションを大切にしながら、サービスをがんばりました」と、緊張しながらも極力いつも通りにサービスを進めたという。
個人部門
個人部門は、フレッシャーズ層の4人を審査後、エキスパーティーズ層の4人の審査が行われた。競技時間はフレッシャーズが1人4分間、エキスパーティーズは同7分間だった。
フレッシャーズでグランプリに輝いた山田さんは、国内線プレミアムクラスでのサービススキルが審査された。マスク姿の女性客には、かぜ薬が必要かを尋ねたり、機内が乾燥していることから乗客の喉を気遣ってアメを手渡すなど、4人の乗客役一人ひとりの様子を見て、応対していった。
一方、エキスパーティーズのグランプリとなった小松原さんは、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港から成田へ向かう便の機内で、着陸1時間前の状況下で審査を受けた。年配の女性から入国審査書類の文字が小さいと相談されると、虫メガネを用意して手渡した。小松原さんは実際の乗務では虫メガネを持ち歩いてはいないものの、文字を拡大できる文具を持ち歩いているという。
外国人客に対しては、流ちょうな英語で応対。寝起きで通路に出て背伸びする乗客には、健康器具を用意した方が良いかなどと問いかけていた。
個人での戦いとなった山田さんは、「とても心細く、ずっと緊張していましたが、乗客役の社員が面白いことを言ってくれたりして、リラックスできました」と話した。
エキスパーティーズの小松原さんは、「自分自身のサービスを審査されることは、訓練以外ではないので緊張しました」と振り返るとともに、いかなる時にも笑顔でいられることがアピールポイントだという小笠原さんは、「自分らしさを本番でもお見せできた」と勝因を分析した。
決勝戦に進出した14人には、おもてなしのプロであることを示す「THE MASTER OMOTENASHI PROFESSIONAL」と刻まれた特製バッジが贈られ、レストランでの食事券が副賞としてプレゼントされた。また、グランプリ獲得者の名前を刻印し、客室センターに飾られる盾が渡された。
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