ミャンマーから空港グランドハンドリング(グラハン)業務の研修生を受け入れるANAグループは11月27日、千葉・成田市内のホテルで歓迎式典を開催した。研修生15人のほか、全日本空輸(ANA/NH)の篠辺修社長やミャンマー航空局(DCA)のミン・ルイン局長らが参加した。
「ミャンマー、ANAに好印象を期待」
ANAは成田-ヤンゴン線を1日1往復運航している。日本からのミャンマー路線は同路線のみ。ANAが海外から研修生を受け入れるのは初めてで、同路線を運航していることから提携を開始した。
8月にヤンゴンの研修センターを訪れた篠辺社長は、熱心に学ぶ研修生の姿を見て「ミャンマーの航空産業の将来を担う、という心意気を感じた」と話した。
ミャンマーの人口は5000万人以上で、将来的にも成長が見込まれる。篠辺社長は「自社便の機材大型化や増便などを検討する日が必ず来る」とし、「ANAのハンドリング経験を積んだスタッフがミャンマーにいることは、ANAが展開するにあたり『楽になる』」との認識を示した。「受け入れるミャンマーも、ANAに対し好印象を持ってくれる」とし、「利益など、短期的なメリットは考えていない」と述べた。
ANAはミャンマー以外の国とは、同様の事例を展開していない。篠辺社長は「今回のケースはANAにとってもいい勉強になる。グラハンだけでなく、整備など多方面に拡大していきたい」と抱負を述べ、研修生には「自分自身や家族のためだけでなく、ミャンマーのためにも頑張ってもらいたい。日本が発展した理由を感じ取って帰国してもらいたい」とエールを送った。
「ミャンマーの航空産業、発展途上」
今回のような取り組みは、ミャンマーでも初めて。ミン・ルイン局長は、「ミャンマーの航空産業は発展途上だ」と断言し、ミャンマーに最も必要なのはインフラ整備と人材育成。今回のプログラム後は、客室乗務員(CA)や整備などの研修も考えている、と続けた。
今後、他国や他航空会社との連携の可能性について問われると、「他者との提携は考えていない」と明言。「日本は世界でトップクラスの先進国。ミャンマーは手本にしている。将来的には日本と同レベルまで引き上げたい」と展望を述べ、「スキル向上で発展すると信じている」と話した。
15人の研修生には「自分のためだけでなく、ミャンマーの発展も念頭に置いて」と注文を付けた。
研修生「国の事業に貢献」
研修生を代表して、イエ・シー・トゥ・テッさん(28歳)があいさつ。日本語を学び始めたばかりのイエ・シー・トゥ・テッさんは冒頭で「日本語に失礼があったらごめんなさい」と、はっきりとした日本語で述べ、「研修中に技術を磨く。国の事業に貢献する。真剣に取り組む」と話した。イエ・シー・トゥ・テッさんは初来日。日本での生活での抱負を聞かれると、「不安はない。ミャンマーでは規則に従って生活していた。日本でも規則どおりに生活する」とした。
会見後、生年月日を尋ねられたイエ・シー・トゥ・テッさん。生まれ年を和暦で答えるなど、日本での生活に溶け込む姿勢を見せた。
式典では篠辺社長とミン・ルイン局長がプレゼントを交換。ミン・ルイン局長にはANAのボーイング787-9型機の同社向け初号機の飛行機模型を、篠辺社長にはミャンマー第2の都市、マンダレーにある「マンダレー王宮」を宝石で描いた絵をプレゼントした。
修了後はミャンマーの幹部候補生に
来日した研修生はすべて男性で、年齢は20代後半から30台前半。ミャンマーでのグラハン経験は2年から5年程度で、ミャンマーのグラハン会社を退職し、ANAグループの「ANA成田エアポートサービス」に入社する。日本では個室の寮で生活し、日本人の新入社員と同等の賃金が支払われる。受入期間は2016年11月末までの1年間だが、ANAグループでは長期の研修を希望している。
研修生は終了後、ミャンマーに帰国し復職。幹部候補生として自国でグラハン業務などの中核を担う。
ミャンマー国内での運航機材は、プロペラ機が主流。このほかは中型機が飛ぶ程度だという。研修生が勤務する成田空港では中型機のほか大型機も多く離発着するため、研修に適している。
関連リンク
ANAホールディングス
ANA成田エアポートサービス
Department of Civil Aviation, Myanmar
ミャンマー航空局と覚書締結
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