キャセイパシフィック航空(CPA/CX)は、順次退役を進めているエアバスA340型機の解体やリサイクルに着手した。最終処分時に廃棄物を大幅に削減することで、環境負荷の低減を目指す。
A340-300型機の初号機は1996年に受領。現在の座席数は265席(ビジネス26席、プレミアムエコノミー28席、エコノミー211席)で、中長距離路線などで運航している。エンジンを4基搭載することから燃料消費量が多く、順次退役を進めている。全11機のうち2015年に退役した4機のA340は、すでに解体施設へ輸送済み。フランス南西部に施設を構える英エアフィン社を通じ、環境へ配慮した3段階のリサイクル行程を経て解体していく。
第1段階では、機体の解体とタンクから燃料や水を抜く作業を実施。第2段階でエンジンや着陸装置などの機体を構成する部品や装置を取り外し、点検や洗浄後に再利用する。最終段階では、リサイクル出来ずに廃棄物となる部分を分解するとともに、ワイヤーなどを分別する。胴体部分は切断し、分別後にリサイクル業者へ引き渡される。
機体重量の40%を構成するアルミは溶解後、窓枠やドアなどの建設資材や航空宇宙、自動車産業用の素材として再利用される。キャセイパシフィック航空によると、リサイクルされるアルミは、金属精製の初期段階で要するエネルギーを削減できる利点もある。A340のリサイクルは、同社にとって過去最大の環境プロジェクトになるという。
キャセイパシフィック航空は現在、低騒音で低燃費の機材に更新を進めており、残る7機のA340も2017年末までに全機退役する見通し。2016年に受領を開始するエアバスA350 XWBを含めて、2024年までに69機の新型機を導入する計画を進めている。
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キャセイパシフィック航空
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