ANA、仏アルザスの研究所と提携　欧州での知名度向上と交流促進へ

　ANAホールディングス（9202）傘下のANA総合研究所は11月9日、フランスのアルザス・欧州日本学研究所（CEEJA・セジャ）と協力覚書を締結した。欧州での全日本空輸（ANA/NH）をはじめとするANAグループの認知度向上や訪日需要の増加につながる施策、学生向け研修などを実施。日本の地方都市とアルザスとの交流促進を図る。

ANAグループとアルザス・欧州日本学研究所の覚書調印式で記念写真に収まるANAホールディングスの片野坂社長（左から2人目）ら＝11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ・ブリュッセル・デュッセルドルフ・フランクフルトミュンヘンのほぼ中心に位置するアルザス（ANAセールスの資料から）

　日本とアルザスは江戸時代末期の19世紀半ばから、大阪商人が当時世界をけん引していたアルザスの繊維産業界とつながりを築き、冬用着物の羊毛生地への染色や製造を発注した記録が残されている。

　CEEJAは、日本とアルザスを中心とした欧州との経済・文化交流を促進するため、地元のオ・ラン県とアルザス地方政府主導で2001年に設立。欧州へ進出する日本企業のサポートや、欧州での日本研究、日本とのアルザスの文化交流などを促進してきた。

　今回の提携により、欧州でのANAグループの認知度を高めるだけではなく、日本でのアルザス地方の知名度向上につなげていく。また、地方都市を含めた物産品の輸出入促進だけではなく、双方の学生への研修プログラムを検討していく。

　CEEJAは研究員を受け入れ、欧州市場への参入や事業拡大を目指す企業を支援する「ビジネス・インキュベーター制度」を設けており、ANAも1人から2人程度派遣する。一方、ANAは9月から11月末まで、アルザス産の白ワイン「ヒューゲル・ジョンティ 2013」をビジネスクラスで提供している。

　アルザスは、ANAの欧州路線では仏パリと独フランクフルト、ミュンヘン、デュッセルドルフ、ベルギーのブリュッセルの中間地点にある。ANAホールディングスの片野坂真哉社長は、人的・物的なネットワークが「多面的につながることを期待したい」と語った。

　また、欧州からの訪日需要について片野坂社長は「前年比でプラス80％の伸び。欧州からの旅行者はショッピングだけではなく、歴史や文化に興味深い。提携にふさわしい流れが期待できる」と説明した。

　一方、欧州でのANAグループの認知度については、「国際線で成長する上で、まだまだ満足いくものではない」と述べ、「実際にANA便に乗ってくれる人が増えることが手応えだ」と語り、欧州現地発の航空券販売の増加を一つの指標とする考えを示した。

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