国土交通省航空局(JCAB)は9月9日、広島空港で仮復旧していたILS(計器着陸装置)について、新しいアンテナ機材を設置し、飛行検査が完了したと発表した。9月19日午前7時30分からは、事故発生前と同じ「カテゴリーIIIB(CAT IIIB)」での運用を開始する。
CAT IIIBでの再開により、着陸時にパイロットが滑走路中心線灯などを視認できる最大距離「RVR(滑走路視距離)」を100メートル以上に緩和する。
ILSの仮復旧は5月5日で、RVRが550メートル以上の「カテゴリーI(CAT I)」で暫定運用していた。
JCABによると、8月下旬に新しいアンテナ機材を設置。8月27日と28日にフライトチェックを実施した。問題がなかったため、29日からは新しいアンテナでの運用を開始したが、カテゴリーはCAT Iに据え置いた。
9月15日からはRVRが200メートル以上の「カテゴリーIIIA(CAT IIIA)」に切り替える。新しいアンテナの運用評価時間は500時間で、問題がなければ19日からCAT IIIBに戻す。
広島空港では4月14日、韓国のアシアナ航空(AAR/OZ)が滑走路逸脱事故を起こし、2日後の16日まで滑走路が閉鎖されていた。事故の影響で、1本ある3000メートル級滑走路の西側(RWY10)に設置されているILSが使用できなくなった。
4月17日に暫定再開したものの、ILSが使用できなくなったため、悪天候時に欠航が生じるなどの影響が出ていた。事故機は4月25日に撤去。気象条件が緩和された。撤去後からILSの仮復旧までは、RVRが1600メートル以上で運用していた。
事故は4月14日午後8時すぎ、アシアナ航空のソウル発広島行きOZ162便(エアバスA320型機、登録番号HL7762)が起こした。乗客73人と乗員8人の計81人は、全員が非常脱出用スライドで機外へ脱出。乗客25人と客室乗務員2人の計27人が軽傷を負った。運輸安全委員会(JTSB)の調査によると、機体は主翼と主脚、エンジン、水平尾翼、胴体後部下側などに損傷が生じた。
事故機はILSのローカライザ・アンテナに衝突。同機の右エンジンにはローカライザー・アンテナのものとみられるオレンジ色の塗料が付着していた。
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