エアライン — 2015年9月1日 15:17 JST

JAL、767導入30周年でイベント CAは当時の制服着用

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 日本航空(JAL/JL、9201)は8月31日、同社のボーイング767型機導入30周年を記念したイベントを、東京・大田区の羽田空港JALメインテナンスセンターで開催した。767の初便を担当した機長が当時のエピソードを明かした。

JALの767-200初号機模型=8月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

初号機導入は1985年

1985年の導入当時を振り返る小布施氏=8月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 JALは同社向け初号機となる767-200(登録番号JA8231)を1985年7月23日に受領。同年11月1日から、旧ダグラス(現ボーイング)DC-10型機に代わり、羽田-福岡線に投入した。

 デジタル技術を全面導入し、アナログ計器を使用しない「グラスコックピット」を採用。航空機関士が不要な2人乗務が可能な機種だった。

 このイベントは、現在、767に乗務する片野裕治副操縦士が企画。マイレージサービス「JALマイレージバンク(JMB)」の上級会員を招待した。JMBのダイヤモンド会員と家族およそ50人が参加し、客室乗務員(CA)は1985年当時の制服を着用した。

 初便の機長は、767の初代乗員部長も務めた小布施雅士氏。1985年8月17日に実施した、シアトルからのアンカレッジ経由のフェリーフライト(回送)も担当した小布施氏は、「羽田到着時は雨が降っていた。JL123便墜落事故が発生した直後で、社内は蜂の巣をつついたような状態。誰にもかまってもらえなかった」と回想した。同型機は、JALが導入する1年半ほど前に全日本空輸(ANA/NH)が導入しており、「ニュースバリューも低かった」と振り返った。

 小布施氏は「これまで3人で運航していたものが2人体制になったことで、乗員組合を巻き込んで大変な思いをした」と導入当時を振り返った。グラスコックピットに慣れるのに苦労したといい、「これまで『一尺、二尺』で計算していたものが、『メートル』に変わったようなものだ」と話した。

 先日、旅行でシアトルに行った小布施氏。その際に利用したのがデルタ航空(DAL/DL)の767だったという。「懐かしかった。エンジンが動くと、自分で操縦している気分になる」と話し、「退職して何十年と経過したが、後ろ髪を引かれる思い」と、767に対する愛着は変わっていない様子を見せた。

 導入当時は50歳だった小布施氏は、現在80歳。当時の写真を持ってこようと思い整理していたら、自分自身の若さに驚いて持参するのを止めたエピソードを披露すると、会場からは笑いが起きた。

現役副操縦士の航空教室

航空教室を開催した片野副操縦士=8月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 その後、片野副操縦士による航空教室が行われた。参加者は着陸角度や離陸時のスピードなどを勉強した。エンジンを始動すると風圧で後ろに駐車中のワゴン車が倒れる映像を流すと、参加者は驚いた様子だった。

 “小さな参加者”の子供たちから、「操縦する時に何に気をつけているか」「運航中にトイレには行けるのか。お腹が空いたときにはどうするのか」などの質問を受けた片野副操縦士は、最初は“大きな参加者向け”に回答し、次に腰を落として「体調に気をつけているんだよ」「奥さんが作ったおにぎりを食べることもあるよ」などと、子供にも分かりやすい言葉で説明していた。

国内外を飛び続ける767

 JALは767を計60機発注。内訳は-200が3機、-300が22機、-300ERが32機、貨物型の-300Fが3機。現在は-300を12機、-300ERを32機保有し、-300ERのうち7機をサブリースしている。

 現在はシートをアップグレードした新仕様機に改修。国際線にはビジネスクラスのシートにフルフラットタイプを採用した「JALスカイスイート767(JAL SKY SUITE 767)」、国内線には本革シートを導入し機内照明をLED化した「JAL SKY NEXT(JALスカイネクスト)」として運航している。

 国際線はおもに東南アジア路線、国内線は羽田発着の鹿児島、長崎、大分、旭川など、高需要の地方路線に投入。767-200初号機は、2011年3月10日に退役した。

 ボーイングは2015年7月31日現在、767を75社から1161機受注。1078機を引き渡している。初号機は1982年8月19日、ユナイテッド航空(UAL/UA)に767-200を引き渡した。

*写真は7枚。

客室乗務員は30年前の制服を着用。左は片野副操縦士=8月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

767-300ERの操縦席に座る小布施氏(左)と片野副操縦士=8月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

操縦席に座る“未来のパイロット”=8月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

1985年当時の制服を着用する客室乗務員=8月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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