全日本空輸(ANA/NH)とトヨタ紡織(3116)が共同開発した新シートを搭載した、ボーイング767-300型機の初号機(登録番号JA8669)が、5月26日に就航した。国内線普通席用のもので、自動車や新幹線用シートを手掛けるトヨタ紡織にとっては、初の航空機用の採用となった。
初便の出発地はトヨタ紡織のお膝元・名古屋が選ばれた。26日早朝に767を羽田から中部までフェリー(回送)後、中部発羽田行きNH86便が最初の商業運航になった。
新シートのピッチと幅は、2005年から導入したKIホールディングス(旧小糸工業、6747)製と同じで、ピッチは31インチ(78.7センチ)、幅が17.5インチ。配列は1列2-3-2席となる。
やや硬めのクッションなど、腰をしっかりと支えることで、筋肉の疲労を抑えてリラックスできる姿勢になるシート構造を採用。身長181センチの日本人男性や、148センチの小柄な女性など、どのような体格の人が座っても、疲れにくいものを目指した。
背面の成形方法を工夫することで、自動車のシートのように座った人を包み込むような座り心地を実現。丸みを帯びた形状により、座る人の視界を広げて開放感を演出している。バックレストは、目線の高さに布地を使うことで圧迫感を抑えた。アームレストの高さも自然にひじが支えるようにし、小柄な人から大柄な人まで、誰もが心地よく感じる形状を取り入れたという。
座面の高さを抑えたのも特徴だ。従来より約5センチ低い40センチとすることで、小柄な女性でも、身長が高い男性でも座りやすくした。
テーブルは一気に倒れてこない構造を採用。機内サービス中、客室乗務員から飲み物を受け取った乗客がテーブルを出そうとした際に、バタンと倒れ出てくることでこぼすといったアクシデントを防ぐ狙いもある。
新シートは2017年3月末までに、6機の767-300国内線仕様機に導入。同機の普通席は1機あたり260席で計1560席導入し、5、6年程度の使用を計画している。
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