全日本空輸(ANA/NH)は5月21日、上級クラスの機内や空港ラウンジで提供する日本酒の選定会を、ANAグループで機内食を手掛けるANAケータリングサービス(ANAC)川崎工場で実施した。提供は2016年3月から1年間で、提供銘柄は6月中旬に決定。人気上位5銘柄ずつを選定し、蔵元や都道府県が均等になるように調整して、提供銘柄を選出する。
機内食のプロデュースチーム「ザ・コノシュアーズ」のメンバーで、日本酒評論家の太田和彦さんやANACの和食担当のシェフ、客室乗務員(CA)などがテイスティング。複数の候補から選考した。製造種類や製造の都道府県のみを開示したブラインド方式で試飲した。
羽田と那覇空港に設置する「ANAスイートラウンジ」で提供するのは純米大吟醸や純米吟醸、大吟醸12銘柄から選定。2銘柄を提供する。短距離国際線のビジネスクラスとプレミアムエコノミー、国内線での提供銘柄は、14種類の候補から4銘柄を、中長距離国際線のビジネスクラスでの提供銘柄は、17種類から2銘柄を選出。ファーストクラスでは純米大吟醸など17種類から2銘柄を選出する。
太田さんによると、候補となった日本酒は全体的にレベルが高いという。「しなやかな生酒できれいな口当たりのものを選んだ」とし、「足切りしたのは2割くらい。選ぶのが難しい」と述べた。
試飲会に参加したCAによると、選定基準は「食事に合うかどうかがポイント」。ブラインドテストで蔵元などが分からない状態なので、「自分の感覚が頼り」と話していた。日本酒に慣れ親しんでいない外国人の利用客にも配慮し、「変わり種よりもベーシックなものを選びたい」と、CAならではの視点から選定したようだ。
審査員が選定用紙を提出後すると、酒瓶を覆う黒いシートが外され、銘柄が明らかになった。CAによると、利用客に提供する際には瓶やラベルのデザインも重要だそうで、「選定用紙を書き換えられないのが残念」と笑いながら話した。
ファーストクラスで提供する、日本酒に合う珍味の選考会も実施。アサリのしぐれ煮やイワシ明太子、チーズのかす漬け、ピータン味噌など、10品がエントリーした。ANACによると、からすみやこのわたなど、定番の珍味ではなく「B級グルメ」を念頭に置き開発したという。この中から数種類を選定し、2016年3月から段階的に提供する。
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全日本空輸
ANAケータリングサービス
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