広島空港で4月25日夜、滑走路を逸脱した韓国のアシアナ航空(AAR/OZ)の事故機を移動する作業が行われる。事故機を滑走路脇の緑地帯から撤去することで、26日始発からは滑走路を運用する気象条件が緩和される。
事故は14日午後8時すぎ、AARのソウル発広島行きOZ162便(エアバスA320型機、登録番号HL7762)が起こした。乗客73人と乗員8人の計81人は、全員が非常脱出用スライドで機外へ脱出。乗客25人と客室乗務員2人の計27人が軽傷を負った。運輸安全委員会(JTSB)の調査によると、機体は主翼と主脚、エンジン、水平尾翼、胴体後部下側などに損傷が生じた。
この影響で、16日まで滑走路が閉鎖された。17日の暫定再開後も、ILS(計器着陸装置)が使用できなくなったため、悪天候時に欠航が生じるなどの影響が出ている。
暫定再開後、滑走路を運用できる気象条件は地上視程が5000メートル以上で、雲の高さが地表から300メートル以上であることだった。国土交通省航空局(JCAB)では、事故機を撤去することで雲の高さ制限がなくなり、視程も1600メートル以上に緩和されるとしている。
また、事故で損傷を受けた滑走路上の航空灯火は、17日に仮復旧済み。一方、ILSのローカライザーについては、現在仮施設の設置作業中で、5月中旬から仮運用を予定している。
25日夜の移動作業は、滑走路の運用が終わる午後9時半以降に始まる予定。現地の天候が想定よりも良好だったことから事前準備が早く進んだため、予定より再開を1日前倒しする。
事故機の移動作業を支援する日本航空(JAL/JL、9201)によると、燃料の抜き取りなどは終わっているという。地面に作業用の鉄板を敷くなどの作業を行いながら、3時間ほどかけて事故機を駐機場へ移動する。
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