日本航空(JAL/JL、9201)は3月20日、関西-ロサンゼルス線を約8年半ぶりに再開した。初便のJL060便(ボーイング787-8型機、登録番号JA823J)は、関西空港を定刻の午後3時20分に出発し、ロサンゼルスへ向かった。
業務渡航と訪日客取り込み
787-8の座席数はビジネス42席、エコノミー144席の計186席で、1日1往復の直行便で運航する。運航スケジュールは関空を午後3時20分に出発し、ロサンゼルスには午前9時20分に到着。ロサンゼルス発便は午前11時20分に出発し、関空へは翌日午後3時50分に着く。
植木義晴社長は「2006年までジャンボで飛ばしていたが、燃油費高騰で運休した。関西経済界から再開の強い要望があり、生産体制が整ったので再開に至った。JALにとっても新しい一歩をスタートできた。関西経済界が元気になるよう手伝いたい」と語った。
関空はアジア路線の拡充は進んでいるものの、欧米路線が弱いとされていた。新関西国際空港会社の安藤圭一社長は「この路線をしっかり応援していきたい」と述べ、空港会社としてもバックアップしていく姿勢を示した。
JALでは、関空が開港した1994年の9月から2006年9月までロサンゼルス線を運航。機材は「ジャンボ」の愛称で親しまれたボーイング747-400型機で、終盤は主に448席仕様の機体が投入されていた。JAL以外の航空会社では、エバー航空(EVA/BR)が2009年10月まで運航していた。
植木社長は、「インバンド(訪日客)が増えており、ロサンゼルスからも訪日客を運びたい。関西経済界からは業務需要の要望を多く受けており、ビジネス客と観光客、訪日客を取り込みたい」と、再開の意気込みを語った。
ロードファクター(座席利用率)については、「3月は残り10日ほどだが、85%程度」との見通しを述べ、無償旅客も合わせれば90%以上になると語った。4月以降については、「予約がこれから入ってくるので、ターゲットをしっかりクリアしたい」と抱負を述べた。
ロサンゼルスは海外在留邦人数が最大の都市で、北米最大の需要規模を持つ。ロサンゼルス以遠は共同事業(JV)パートナーであるアメリカン航空(AAL/AA)の便と接続し、米州域内37地点へ乗り継げる。
JALのロサンゼルス線は、成田便も1日1往復運航中。日本とロサンゼルスを結ぶ便は1日2往復になった。
8年半ぶりとなった再開初便の乗客は184人(うち幼児1人)で、乗員は11人(運航乗務員3人、客室乗務員8人)。植木社長も乗客として乗り込んだ。乗客には、2種類のハンカチとキャンディ、メッセージカード、搭乗証明書がプレゼントされた。
初便の見送りには、JALや空港会社の社員が当初予定の30人の約3倍となる87人が集まり、横断幕などを手に待望のロサンゼルス行きを見送った。
安藤社長「ロンドン最優先」
新関空会社の安藤社長は、ロサンゼルス線に次ぐ欧米路線について「ロンドンが最優先」と語った。
「ロサンゼルスの次は、ロンドンを復活して欲しい。そのためにはロサンゼルス線が軌道に乗ることが大事」(安藤社長)として、着陸料減免や関西経済界へ利用を働きかけていく意向を示した。
一方、植木社長は「(ロサンゼルスとロンドンで)LLと言われている。ロンドンの要望があることを認識しているが、次の生産体制の準備もある」と述べた上で、「若干ロンドンのほうが採算性が厳しい。収支がしっかり整う路線であれば、前向きに考えたい」との見解を示した。JALでは、関空−ロンドン線を2006年9月30日まで運航していた。
今後の関空発着の国際線について、植木社長は「インバウンドのみならず通過客も考えると、バランス良く東南アジアと米州をつなげるようになればと考えている」と述べ、成田空港と同様、アジアと北米の接続需要の取り込み強化も進める。
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