川崎重工業(7012)は3月13日、ボーイング787-10型機の生産開始など増産に対応する新工場の竣工式を行い、報道関係者に公開した。総投資額は約350億円。
新工場の名称は東工場。延床面積は約6万平方メートルで、航空機製品の生産・組立工場である名古屋第一工場南工場の東側隣接地に、2013年12月から建設を開始した。複合材部品の加工から前部胴体の組み立てまで一貫生産する。また、東工場と南工場は通路でつなぎ、生産性を高めた。
川重は787の前部胴体や主脚格納部、主翼固定後縁を担当。787向けの名古屋第一工場北工場を2006年7月に、増産用の同南工場を2010年3月に竣工。標準型の787-8と長胴型の787-9向けに生産を進めている。
新設した東工場には既存工場と同種の生産設備を追加導入し、主に787-9と787-10の前部胴体を生産。787-10の座席数は300席から330席クラスで、787の中で最大サイズの機体となる。
東工場には、直径9メートル、長さ30メートルと世界最大級となる、自社製の複合材硬化用オートクレーブや、胴体を一体成形するプリプレグ自動積層機、胴体を一体加工するパネルリベッターやトリム、ドリル、大型NDI(超音波非破壊試験装置)などを備える。オートクレーブは、北工場に次ぐ2号炉となる。6月から試作を始め、工程の確認などを進める。
787の前部胴体は、787-8が約7メートル、787-9が約10メートル、787-10が約13メートルと、787-10は787-8と比べて約2倍の長さになる。2号炉は前部胴体が長い787-10に対応出来るよう、1号炉と比べて長い部材が温まりやすいように改良した。
川崎重工・航空宇宙カンパニーの酒井昭仁787生産技術部長は、「1号炉の点検時などに、2号炉で787-8や787-9の前部胴体を生産することもある」と説明。また、東工場は既存工場と比べ、「生産する速度を速めるのではなく、長いものや大きなもので精度を保つ改善をした」と語った。
ボーイングは787の生産レートを、2016年に現在の月産10機から12機に、2019年までには14機に引き上げる。川重によると、今回稼働した東工場を含め、月産14機体制に対応出来るとしている。
787-10の最終組立と試験飛行は2017年初頭、初号機の引き渡しは2018年を予定している。日本では全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が今年1月30日に、3機を国内線用機材として発注する意向を示した。発注が確定した場合、ANAHDは787-10を2019年度から2020年度にかけて導入する。
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