成田国際空港会社(NAA)は2月26日、着陸料を最大1年間無料にする航空会社向けプロモーションを開始すると発表した。新規路線の就航が条件で、航空会社や成田空港にとって未就航地の場合、割引率を加算する。実施期間は4月1日から2018年3月31日までの3年間。
「成田ハブ化促進インセンティブ」で、国内線と国内線の定期便を対象に実施し、旅客・貨物ともに最大2年間適用する。割引プログラムは、新規ネットワーク拡充のための「ネットワーク拡充割引」と、既存路線の増強を目的とした「増量割引」の2種類用意する。
ネットワーク拡充割引は、開設路線が航空会社にとって初めての路線となる場合、1年目は20%、2年目は10%割り引く。一方、成田にとって未就航地だった場合、1年目で30%、2年目で15%の割引を実施する。
増量割引は、累積着陸料を4-9月期と10-3月期で区分。前年同期と比較して増加した場合、増加分の50%を割り引く。これまで国際線のみに適用していたものを、4月1日からは国内線にも拡大する。また、2016年3月31日までだった国際線での実施期間を2018年3月31日までに延長し、適用期間は1年間とする。
1年以上の休止期間ののち再就航となった場合も、新規扱いにする。
ボーイング777-200型機の場合、1回の着陸料は42万7800円。航空会社初となる路線を、ヨハネスブルグなど成田にとって未就航地に就航した場合、1年目は増量割引の50%のほか、ネットワーク拡充割引を適用。新規路線分の20%と未就航地分の30%で計100%となり、1年目の着陸料を免除する。2年目はネットワーク拡充割引の新規路線分10%と未就航地分15%で、合計25%を割り引き、割引額は10万6950円となる。
アムステルダムなど、成田にとっては既存路線を航空会社が初めて開設する場合は、1年目は増量割引50%とネットワーク拡充割引の新規路線分20%で合計70%(29万9460円)、2年目は新規路線分の10%(4万2780円)をそれぞれ割り引く。
台北線のように、航空会社と成田ともに既存となる路線を新設した場合は、1年目の増量割引50%(21万3900円)のみ適用する。
NAAの夏目誠社長は、1年目の割引率を高くする「二段階方式」の導入について、「需要が定着するまでのコストを軽減することで、航空会社を支援するため」と説明。航空会社にとって、新規路線の開設は初期費用がかさむことから、「負担を軽減することで新規路線の開設促進につながる」とした。
具体例として、エチオピア航空(ETH/ET)が4月に就航するアジスアベバ線は100%、全日本空輸(ANA/NH)が3月に開設するクアラルンプール線と、6月に就航するヒューストン線、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)が3月に新設する札幌線と福岡線は、それぞれ70%を割り引くことを挙げた。
「仁川空港と比較すると見劣りする。中国内陸部にも大きな都市がたくさんある」とし、今後は4000キロ以内の近距離アジア路線を増やす意向を示した。また、アフリカや南米など、成長が見込まれる地域への路線開設も視野に入れた。夏目社長は「航空会社にはがんばってもらいたい。そのためのインセンティブだ」と語った。国内線については「拡大の余地がある」と述べた。
夏目社長は進捗状況について、タイのLCC(低コスト航空会社)であるノックスクート・エアライン(NCT/XW)やタイガーエア・タイワン(TTW/IT)との交渉が進んでいると説明した。
成田空港からは、民事再生手続き中のスカイマーク(SKY/BC、9204)が2014年10月に、今年2月にはヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)がそれぞれ撤退している。VIRが成田-ロンドン線でコードシェアを実施していたANAの同路線就航について夏目社長は、ANAとは話し合っていないことを明らかにした。ANAは現在、ロンドン便は羽田からのみ運航している。
撤退から1年経過後には、新規路線として増量割引が適用されることから、夏目社長は「(SKYとVIRには)戻ってきてもらいたい」とアピールした。
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成田国際空港
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