中部空港(セントレア)が2月17日、開港から10周年を迎えた。2000年に着工し、愛知万博が開かれた2005年に開港。現在国際線はホノルルやグアム、デトロイト、フランクフルト、ヘルシンキ、北京、上海、ソウル、台北など26都市に、国内線は東京(羽田・成田)や札幌、福岡、鹿児島、那覇など18都市に就航している。(10周年記念式典の様子はこちら)
開港後の3年間は、愛知万博や地元の好景気を受け、就航便数や旅客数、貨物量などは好調に推移した。2008年のリーマンショック以降は、新型インフルエンザや東日本大震災、中国・韓国との関係悪化をはじめ、日本航空(JAL/JL、9201)の破綻など、さまざまなイベントリスクで旅客数や貨物量が落ち込み、路線撤退も相次いだ。
今月14日には、2014年3月17日に就航したエアアジアX(XAX/D7)が、中部-クアラルンプール線を1年足らずで運休。今年3月28日に就航予定だったガルーダ・インドネシア航空(GIA/GA)も、路線計画の見直しで就航を延期するなど、景気が回復基調に向かう中でも厳しい状況が続いている。
現在JALが1日2往復、全日本空輸(ANA/NH)が同1往復運航する羽田路線も、セントレアにとっては国際線旅客を羽田に吸い取られてしまうため、複雑な存在だ。「10年の変化で大きなものは、羽田の再国際化」と中部国際空港会社の各務正人副社長は語る。「静岡東部は羽田の方が近い。静岡とも共同で需要拡大に取り組みたい」と、商圏拡大もこれからの課題となる。
今後の国際線は、中国や韓国、台湾など近隣諸国と東南アジア地域の充実が主体となるが、欧米路線の拡大も意欲的に取り組んでいく。LCC(低コスト航空会社)についても、「大きなエンジンのひとつ」(各務副社長)として、誘致を進める。
リーマンショックで低落傾向にあった航空貨物は、2012年度の年間11万トンで底を打ち、自動車部品や精密機器の輸送量増加に伴い、2013年度は14万7000トンと回復傾向にある。一方で旅客便の機材小型化に伴い、貨物スペースが減少していることが課題となっている。
セントレアが先駆けとなったと言える、空港の商業施設化による非航空系売上の向上については、全体の売上の45%を占めるまでに成長。既存施設のリニューアルなどで、集客を強化する。今秋には、空港対岸の名古屋鉄道りんくう常滑駅周辺に大型商業施設「イオンモール常滑」がオープンすることから、「知多の商圏が大きく変化する。WIN-WINでできるものを」(各務副社長)と、非航空系売上の積み増しを図りたい考えだ。
中部国際空港会社では今後、すでに実施済みのムスリム(イスラム教徒)対応をはじめ、訪日需要(インバウンド)に対する「おもてなし」を強化していくという。
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中部国際空港 セントレア
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