日本航空(JAL/JL、9201)は12月26日、私立大学のパイロット養成課程の学生を対象とした、奨学給付金制度を設立すると発表した。
2015年度に開始し、対象人数は毎年最大30人程度。1人あたり4年間の在学中に最大500万円程度給付する。JALからの寄付金を、既存の公益法人が運営する形を予定している。
JALはパイロット養成の課題に取り組む「航空機操縦士養成連絡協議会」に参加しており、同社では今後、養成課程を擁する私立大学や同協会などと協議し、制度の詳細を決める。
今回の奨学金制度は、JALが社会貢献の一環で設立。奨学金への応募と採用は関係なく、給付を受けた学生の進路に条件はないとしている。
JALでは今年4月から、チームワークを重視し、訓練期間を短縮できる新方式を、新たに訓練過程に入るパイロット訓練生を対象に導入。10月には、航空機のフルフライト・シミュレーター(FFS)や訓練プログラムを提供する大手企業、カナダのCAEとパイロットの訓練を手掛ける合弁会社の設立で合意している。
民間機パイロットは世界的に不足。パイロット養成に関する国内の航空会社による取り組みでは、12月から全日本空輸(ANA/NH)が航空大学校に現役パイロットの派遣を始めた。2006年4月に、国内では初めて大学に民間機のパイロット養成コースを設けた東海大学は、ANAが航空産業関連の講座開設などで協力している。ANAでは、奨学金制度も前向きに検討するという。
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