接客ナンバー1は誰だ──!? 全日本空輸(ANA/NH)は12月2日、客室乗務員(CA)の接客スキルを競う「ANA“OMOTENASHIの達人”コンテスト」を開催した。3人1組のチーム部門と個人部門で競うもので、チーム部門には30チームによる予選を勝ち抜いた2チームが、個人部門には約6000人のCAの中から職場投票で選出された6人が出場した。同コンテストは昨年始まり、今回で2回目。
(2015年の第3回はこちら)
コンテストに先立ち、ANAの篠辺修社長は「緊張していると思うが、ジャガイモかカボチャが座っていると思って、マイペースでやって欲しい」と出場者を激励した。
チーム部門のコンテストは、東京・大田区にあるANA訓練センターの客室モックアップで実施。ビジネスクラスのシートやギャレーが設けられ、ANAの役員らが乗客役を演じた。出場メンバーが会場に入ると、応援団から声援が飛び交った。
コンテストの注意点は、CAの教官がダンスを交えて説明。乗客役がシートに備えられたCAを呼ぶボタンを押しても、機内のようにランプが点灯しないことから、うちわを振ることで代用するなど、実機との差異を工夫した。
チーム部門
チーム部門では羽田-ロンドン線(NH277便)のビジネスクラスで、食事やドリンクを提供する場面を想定。接客スキルやチーム力、会話力などを審査した。「乗客」は2-3-2配列のシートに26人。
優勝したのは浦野裕子さん、木村ふみさん、延田(のべた)麻衣さんの「ピロリズム♪」チーム。メンバーは優勝したことにびっくりした様子で、「夜は眠れなかった。信じられない。相手のElegant Smile(エレガント・スマイル)チームもすばらしかった」(木村さん)、「思ってもみなかった」(延田さん)、「本当に楽しかった」(浦野さん)と感想を述べた。
この日に提供したメニューは12月1日から提供を開始したもの。出場者には事前に周知があり、内容を知ることはできたが、浦野さんと木村さん、延田さんが実物を目にしたのは競技開始の数分前だったという。その数分間で、乗客に対しての勧め方を考えたのだそうだ。
個人部門
個人競技は6人が出場。CAたちは場面設定を与えられ、対応力をアピールした。羽田発福岡行きプレミアムクラスで食事の提供、片付け。羽田発ロンドン行きビジネスクラスでの搭乗、食事提供、出発から7時間後、着陸1時間前を設定した。
酒を飲み過ぎた乗客には「お水のほうがいいんじゃない?」とフランクに接したり、アクシデントでおしぼりを落としてしまったあるCAは「Alive!(生きている)」と冗談を言ったりして、競技は和やかに進行した。
個人競技では、小澤美保さんが優勝。小澤さんが担当したのは、利用客がもっとも楽しみにしている食事の提供シーン。「いかにリラックスした状態で楽しんでもらうか」を工夫して接客した。
競技終了後、小澤さんは「信じられない。2回目のコンテストで優勝できて、自分自身にも励みになる。利用客に対し、よりいいサービスをチームで届けたい気持ちを強くした」と振り返った。
普段はロサンゼルス線やワシントン線、サンフランシスコ線など北米路線でファーストクラスを担当しているという小澤さん。ビジネスの設定となった今回は、ファーストと比較して限られた時間で多くの利用客と接する必要があり、利用客のニーズや特徴を会話から読み取ることをに重点を置いたという。
機内で仕事中のビジネス客は、「忙しい」と口にしながらも小澤さんに話しかける。このような「勢い」のある乗客とのやりとりには苦労したようで、押されないようにしながらも糸口を見つけるのが大変だったとした。
さらに「老人客」からの下ネタに対しても柔軟に対応。コンテスト終了後、「いかに品格を持って切り返すか。その上で笑いに持っていくことが難しかった」と振り返った。
「メンバーに会えたことが一生の財産」と話す小澤さんは、これからCAを目指す人々に対し、「いい仕事だと思っている。さまざまな体験や搭乗客との交流を通じ、自分自身の価値を高めることができる」とし、「空の上でお待ちしております」と未来のCA候補にメッセージを送った。
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【訂正】
20枚目の写真説明を一部修正しました。(2014年12月3日 14:50 JST)