機体 — 2014年10月14日 20:51 JST

パラシュート付きプロペラ機、墜落でもパイロット生存 指宿で

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 10月12日午後2時半ごろ、鹿児島県指宿市西方地区の畑に小型機が墜落した。サイパンから韓国へのフェリーフライト(回送)中にエンジントラブルが起きたもので、機体は米シーラス・エアクラフトの単発プロペラ機SR20型(登録番号N176CD)だった。

指宿市の畑に墜落時に作動したシーラス機の緊急パラシュートシステム(JGAS提供)

畑に墜落後、強風にあおられて竹林に突っ込んだシーラスSR20(JGAS提供)

 住民の目撃情報に「パラシュートが開いていた」というものがあった。シーラス機の輸入代理店ジャパン・ジェネラル・アビエーション・サービス(JGAS)社によると、シーラス機には「CAPS(シーラス・エアフレーム・パラシュート・システム)」と呼ばれる緊急用パラシュートが装備されているという。

 機体がコントロールを失った場合、高度2000フィート(約609メートル)から500フィートで、パイロットがコックピット内のハンドルを引くと機体後部に格納されたパラシュートがロケットモーターによって射出されて開き、落下速度を抑える。JGASによると、地上に墜落した際の衝撃は、パラシュートで降下することで建物の2階から3階程度の高さから落下した程度の衝撃に緩和されるといい、機体が地面からの衝撃を吸収することで、パイロットがけがをしにくい構造になっている。

墜落したシーラスSR20(JGAS提供)

 今回の事故では、機体が畑に墜落した時点でパイロットの米国人男性(39)にけがはなかった。その後、パラシュートが開いた機体が強風にあおられたことで竹林に突っ込み、脱出時に後頭部を負傷したという。この時、鹿児島県には台風19号が接近していた。

 航空機事故でパラシュートと言えば、戦闘機のようにパイロットが射出座席で脱出し、その後パラシュートでゆっくり降りてくるというイメージだが、シーラス機は機体そのものにパラシュートが付いていた。このパラシュートの有無が、今回の墜落でパイロットのケガを最小限に抑えた可能性がある。JGASによると、現在日本で登録されているシーラス機は十数機だという。

 事故原因については、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)が調査官2人を派遣し、15日から実況見分が実施される予定。

*JGAS社は当局からの事故対応依頼に基づいて現場へ立ち入っており、弊紙はその時に同社が撮影した写真の提供を受けています。

機体後部からロケットモーターで射出される緊急パラシュートシステム(JGAS提供)

関連リンク
Cirrus Aircraft
シーラス(JGAS)

【お知らせ】
墜落現場の写真を追加しました。(2014年10月14日 21:16 JST)

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