エアライン, 企業 — 2014年7月28日 06:00 JST

「静かにさせるのは逆効果」CAが”小さなお客様”の接客勉強会

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 夏休みシーズンが到来し、小さな子供を連れて空の旅に出掛ける人も多いだろう。しかし、子供は昔から「泣くのが仕事」と言われているほど、必ずしも親の言うことを聞くとは限らない。機内で泣き続ける子供を母親や客室乗務員(CA)が懸命にあやしても泣き止まず、女性漫画家が機内で騒いだ上、航空会社へクレームまで入れたトラブルは記憶に新しいところだ。

 このような、周囲の大人がさらにトラブルを起こす事例はまれであるが、小さな子供が機内で泣いてしまうことはありがちだ。飛行機に乗るのが初めてであったり、長時間のフライトであればなおさらだ。空の旅に連れ出す親だけではなく、入社から日の浅いCAも、対処に困ることや不安に感じることがあるという。

 繁忙期を目前に控えた7月23日、CAが子供や親に快適な旅を過ごしてもらえる接客を、どうすればできるかを課題にした勉強会が都内で開かれた。

子ども用プレゼント「どんどん減っている」

 会を企画したのは、CA専用の情報共有サイト「クルーワールド」を運営し、CAの転職支援を手掛けるコラボ(東京・港区)。現役や育休中のCAなど15人が参加した。同社の駒崎クララ社長は起業前に、アシアナ航空(AAR/OZ)でCAとして乗務しており、「良かれと思ってやったことが、子供や親にとっては逆の結果になることもあった」と、かつての経験を振り返る。

紙コップでマペットを作った客室乗務員と講師の小笠原さん(右)=7月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 駒崎社長によると、ママさんCAも多い日系の航空会社では、社内で自主的な勉強会を開く機会があるという。一方、海外の航空会社の中でも日本人クルーが少ない会社では、日本人のママさんCAも少なく、日本の実情に沿った情報共有が難しい場合があるそうだ。

 会は2部構成で開かれ、第1部では、保育士で合同会社こどもみらい探求社共同代表社員の小笠原舞さんが、発達心理学を交えて子供の心理を解説。年齢を重ねるごとに、子供が社会との関わりをどのように広げていくのかや、なぜ公共の場で泣いて親の気を引くのかなどを説明した。

 子供の心理を学ぶだけではなく、参加者自身が子供時代にどのように過ごしたかや、機内でどのような遊びができるかを、5人1グループで5分ほどずつ話し合った。

 話し合い後、「シルバニアファミリーが流行った」「ギャレーのカーテンで、“いない、いない、バー”ができるのでは」といった声が上がる。一方で、「子供にあげられるプレゼントが、最近どんどん減っている」といった、航空会社の現状を切実に表した意見も出た。また、紙コップのフタにアニメキャラクターを描くことで、子供が喜んでくれたという報告もあった。

 小笠原さんは参加者たちに紙コップを配り、これでおもちゃが作れないかと問いかけた。紙コップは機内にもあり、CAが比較的自由に扱えるものだ。参加したCAたちは、紙コップを二つ合わせ、中にものを入れて音を鳴らしたり、紙コップを切ってマペットを作っていた。

キッズスペース活用を

会場に用意されたものを利用して子供たちが作った「もじゃもじゃサラダ」=7月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 第2部では、参加者の子供たちが遊ぶ様子を一緒に遊びながら観察。子供たちは初めて会う同士でも一緒に遊んだり、大人に自分が作ったものを見せるなど、思い思いに遊んでいた。

 子供たちの行動を観察した後、小笠原さんは「静かにさせようとすると、悪循環に陥る」と指摘。また、搭乗前に親が出来ることとして、空港のキッズスペースで遊ばせることを提案した。遊び疲れていれば、機内でゆっくり眠ってくれるという。

 参加した欧州の航空会社に勤めるCAは、「1便に乗っている日本人が限られているため、ツアー客の対応で時間を取られることも多い。紙コップなどを生かして、子供たちに喜んでもらいたい」と感想を話した。

関連リンク
KoLabo
こどもみらい探求社

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