東京消防庁と日本航空(JAL、9201)は2月18日、日本航空非常救難訓練センター(東京・大田区)でボーイング747型機の実物大模型を使った救難訓練を実施した。合同訓練は今回が初めて。
訓練には、同庁の消防隊員ら70人とJALの客室乗務員(CA)ら15人が参加。羽田空港に向けて進入アプローチ中、富士山の噴火によりエンジンが停止したと想定し、東京湾に緊急着水後、硫黄のにおいが充満する機体から脱出する訓練を行った。
CAらは照明が点滅し、混乱する機内で声を出す乗客を落ち着かせ、衝突防止姿勢を説明。説明開始から7分以内にライフジャケットを着用し、非常口からスライドラフト(救命いかだ)で脱出を開始した。
機内に乗り込んだ消防隊員が救助活動を進め、機外ではスライドラフトを着岸させたり、プールに転落した乗客を水中から引き上げた。
蒲田消防署一部大隊の川村博之大隊長は、「リアルな施設を使って訓練するのは初めてで、非常に良い勉強になった」と感想を述べた。また、「混乱した状況下で人員も限りがあり、全員避難したかを乗員乗客名簿と照合するのが非常に難しい」と今後の課題を指摘した。
また、実際の事故では海上保安庁や警察など、消防や航空会社以外にも多くの機関が関わる。川村大隊長は「二次災害の危険性など、人命救助のため関係各機関と連携を取り、情報を共有することが大事」と話した。
同センターは1979年に完成。普段は約6000人のCAが年1回の訓練を受けるためフル稼働しており、JALのCAにとっては毎年訓練を受けてきた思い出の場所だが、移転のため2月20日で閉鎖となり、月内に取り壊しが始まる。このため、同センターでの消防との合同訓練は、今回が最初で最後となった。
3月には新施設が開設されるが、20メートル×20メートルあったプールの面積は半分程度になるため、今回のように同庁のボートを展開するような訓練は難しくなるという。
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3段目の一部表現を修正しました。(2014年2月19日 12:06 JST)