今年8月で発生から40年の節目を迎える日本航空123便墜落事故。日本航空(JAL/JL、9201)の鳥取三津子社長は入社式を開いた4月1日、事故当時を知る現役の役員や社員が少なくなる中、当時入社した最後の世代としてJALグループの安全意識の徹底を進めていく考えを示した。

羽田空港の格納庫で開かれた入社式後取材に応じるJALの鳥取社長=25年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
入社式を終えた鳥取社長は、「私自身も御巣鷹山の事故の時に入社した、ほぼ最後の人間になると思う」と述べ、実感を持って知るのはなかなか難しいが、これまで取り組んできた『現地・現物・現人(げんにん)』を継続していくことが非常に重要だ」と語った。
「見るだけとか、語るだけでは、なかなか伝わらないと思う。そこに行って肌で感じたり、実際に経験した方からお話を伺うことで、少しでも近づけるような環境を必ず継続していくことが非常に重要。責任を持って続けていきたい」と決意を述べた。

御巣鷹山の「昇魂之碑」を訪れるJALの鳥取社長=24年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
1985年8月12日午後6時56分に墜落した羽田発伊丹行きJL123便(ボーイング747SR-100型機、登録記号JA8119)には、乗客509人と乗員15人の524人が乗っていた。事故後31年の2016年の時点で、当時いた社員は7%まで減少し、9割を超える社員が事故後の入社となっていた。
鳥取社長は、事故が起きた1985年の4月に客室乗務員として東亜国内航空(TDA、のちにJAS、現JAL)に入社。JALの成田第2客室乗員部部長や客室安全推進部部長、客室本部長を歴任し、2022年4月に常務執行役員 客室本部長、2023年4月から専務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、同年6月からは代表権のある専務務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、グループCCO(最高顧客責任者)を務め、2024年4月から社長を務めている。
JALは安全上のトラブルが相次いだことから、2024年5月に国土交通省が行政指導にあたる「厳重注意」を行ったが、同じ年の12月にはパイロットの飲酒によるトラブルが発生し、国交省から行政指導の「業務改善勧告」を受けた。今年に入ると、2月5日にはシアトル・タコマ国際空港でボーイング787-9型機(登録記号JA868J)の右主翼が駐機中のデルタ航空(DAL/DL)機の垂直尾翼と接触する事故を起こしており、安全が重大な課題となっている。
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日本航空
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