三菱重工業(7011)グループの三菱重工交通・建設エンジニアリング(MHI-TC、旧・三菱重工交通機器エンジニアリング、東京・港区)は3月26日、搭乗橋(PBB)の「完全自動装着システム」を完成させたと発表した。PBBと機体の装着作業を自動化したもので、2基のPBB連動にも対応する。成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)と共同開発し、日本航空(JAL/JL、9201)が全面協力した。MHI-TCは今春から、システムの販売を開始する。

成田空港67番スポットに備える完全自動装着のPBB(MHI-TC提供)
今回完成した完全自動装着システムは3つの機能を備え、すべての装着作業を完全自動化。従来の自動装着システムは、機体の手前10センチまでで自動走行を終了し、機体への接触微調整やクロージャー(屋根)装着、機体昇降検知センサーの装着など、最終の装着作業をグランドハンドリング(グラハン、地上支援)を担う担当者が手動で操作していた。
PBBを自動で装着する「オートドッキング機能」は、ワンプッシュの操作で機体ドアを検出。PBBを走行させ、高さや機体との並行度を全自動で調整する。接触とクロージャー装着、機体昇降検知センサーの装着を完全自動化した。PBB先端の内部に備える操作盤で操作する。
2基のPBBを連動させ装着する「ツインオートドッキング機能」は、1基をワンプッシュ操作し、もう1基を連動させて機体に自動装着する機能。無人になるPBBの走行中の映像は操縦中のPBBから確認できる。PBBを2基設置するスポット(駐機場)で稼働する。

成田空港の完全自動装着PBBに備える「ツインオートドッキング機能」(MHI-TC提供)

成田空港の完全自動装着PBBに実装する「リモートドッキング機能」を操作するタブレット(MHI-TC提供)
また、タブレットを使い遠隔操作で装着する「リモートドッキング機能」も実装。エプロン(駐機エリア)から遠隔操作でPBBを機体に装着する。
MHI-TCとNAAの両社は2021年4月から、完全自動運転PBBの運用を開始。JALがおもに使用する第2ターミナル(T2)の67番スポットに導入し、段階的に開発を進めてきた。自動装着により、PBBを操作するグラハン業務の簡略化や技術の均一化を図るほか、グラハンは全国的な人手不足が深刻化していることから、負担軽減などにもつなげたい考え。

成田空港の完全自動装着PBBをワンプッシュで操作するグラハンスタッフ(MHI-TC提供)

成田空港67番スポットで運用する自動装着PBB=21年4月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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