エアライン, 企業, 解説・コラム — 2025年3月24日 23:57 JST

JALとNEC、羽田で顔認証×自動運転バスの実証実験　運転手不足に対応へ

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　日本航空（JAL/JL、9201）と日本電気（NEC、6701）は3月24日、JALグループ社員が関連施設間の移動で利用する「業務連絡バス（業連バス）」の一部区間で、顔認証による乗車システムなどの実証実験を報道関係者に公開した。

新整備場地区を走るJALとNECによる顔認証と自動運転の実証実験バス＝25年3月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　実証実験は、17日から24日まで土曜と日曜を除いて6日間実施。バスの定員は13人で、TIER IV（ティアフォー、東京・品川区）の自動走行システムを搭載した小型EVバス「Minibus」を使い、ドライバーが乗車した形で自動運転を行う「レベル2」（部分運転自動化）で行われ、NECの顔認証技術と自動運転車両の運行管理システムを組み合わせて検証した。

　JALの業連バスは、社員が乗車する際にドライバーが社員証を確認すると乗車できる仕組み。今回の実験では、社員がスマートフォンで事前に乗車するバスを顔認証システムで予約し、バスに乗る際にも顔認証システムを使うことで、ドライバーが社員証を確認しなくても、予約した社員だけが乗車できるようにした。

　実証実験で走るルートは、東京モノレールの新整備場駅前にある乗車地点「ユーティリティーセンター」から、新整備場地区内にある「テクニカルセンター」までで、1日11往復設定した。通常の業連バスに加えて自動運転バスを運行し、利用した社員にアンケートをとり、今後の自動運転や顔認証を活用するアイデアを募った。

新整備場地区を自動運転で走行するJALとNECの実証実験バス＝25年3月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　JALで今回の実証実験を担当しているイノベーション本部事業開発部の尾坂希美主任は「地方ではバスの運転手不足で既存のバス路線維持が課題。ドライバーがいなくても運行できる手段として自動運転や顔認証は期待できる」と話す。JAL便の乗客が地方空港へ到着後、路線バスで市内へ出るといった移動手段の確保のほか、空港内の社員の移動や物資輸送の省人化に役立てられそうだという。

　NECは今回の実証実験で、顔認証システムに加えて、自動運転車両の運行管理システムも検証。NECのモビリティソリューション統括部SDVサービスグループの紀平知慧プロフェッショナルは「通信の帯域制御にAIを活用することで、帯域が弱い時には遠隔で運行管理する際に必要な情報だけ送れるようにし、複数台の車両を管理する際には運行管理者の支援や見落とし防ぐ分野にもAIを活用したい」と語った。