日本航空(JAL/JL、9201)とエアバスら5社は3月17日、国産木材由来のバイオエタノールを用いた純国産の代替航空燃料「SAF(サフ、持続可能な航空燃料)」の実現に向けた相互連携で覚書を締結したと発表した。日本製紙(3863)と住友商事(8053)、Green Earth Institute(GEI、9212)の3社のプロジェクトにJALとエアバスが参画し、航空業界の脱炭素化へ、国産SAFのサプライチェーン構築を加速させる。

純国産SAFの原料となる(左から)木材チップ、パルプ、発酵培養液、バイオエタノール(JAL提供)
日本製紙ら3社は2月に、バイオエタノールなどを製造販売する合弁会社「森空バイオリファイナリー合同会社」の設立で合意書を締結。国産木材を原料としたバイオエタノールからのSAF精製を目指している。3社のプロジェクトにJALとエアバスが参画し、SAFの需給に関わる事業者が連携することで、国産SAFの普及・拡大を進めていく。
国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)は、2050年までにCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目標としている。JALは2030年までに全搭載燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げ、エアバスは、今回のプロジェクトで精製したSAFが、ICAOによる国際航空分野の温暖化防止スキーム「CORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)」の認証を取得するよう支援する。
航空業界ではSAFの導入が進んでいる。JALは全日本空輸(ANA/NH)らとともに、SAFの国産化を目指す有志団体「ACT FOR SKY(アクトフォースカイ)」を立ち上げ、国産SAFへの理解深化を図っている。
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日本航空
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日本製紙
住友商事
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