エアバスは現地時間2月21日、単通路機では世界最長となる最大11時間飛行できるA321XLRのプラット&ホイットニー(PW)製エンジン「PW1100G-JM」搭載機が、EASA(欧州航空安全庁)から型式証明を取得したと発表した。A321XLRはこれまでCFMインターナショナル製「LEAP-1A」エンジン搭載機が2024年7月に型式証明を取得しており、PWエンジン仕様の機体も今回正式に認可を受けた。

PW1100Gを搭載したA321XLR(エアバス提供)
A321XLRはA321neoの航続距離を延長した超長距離型で、2019年6月にローンチ。XLR(Xtra Long Range)は「超長距離」を意味し、燃料タンクを増設することで、単通路機では世界最長となる航続距離4700海里(約8704キロ)を実現し、最大11時間の飛行が可能となる。PWエンジンを搭載したA321XLRは、今年後半にも商業運航が始まる見込み。
PWによると、PW1100Gをはじめとする「ギヤード・ターボファン(GTF)」エンジンは単通路機向けエンジンとして最も燃費効率が高く、従来のエンジンと比較して運航コストの削減に貢献するという。現在、世界13社が217機のA321XLR向けGTFエンジンを選定しており、ハンガリーのウィズエアー(WZZ/W6)が最初の運航会社となる予定。また、次世代型「GTF Advantage」エンジンは、より高い離陸推力を提供し、さらに優れた運用経済性を実現するとしている。
A321XLRの初号機は2022年6月に初飛行し、その後3機の試験機によるテストプログラムを実施。CFM製エンジン搭載機が昨年2024年に型式証明を取得し、イベリア航空(IBE/IB)に世界初納入された。これまでにA321XLRは500機以上の受注を獲得している。

PW1100Gを搭載したA321XLR(プラット&ホイットニー提供)
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