日本航空(JAL/JL、9201)は1月30日、空港で貨物・手荷物の搬送や航空機への搭降載を担当するグランドハンドリングスタッフ(グラハン)の技量を競う「グランドハンドリングコンテスト」を羽田空港のJAL格納庫で開いた。決勝には7空港から2人1組の11チームが出場し、成田空港の東茉優香さん(入社2年目)と土屋啓楓(はるか)さん(1年目)のペアが優勝した。また10回目となる今回は、国が定める在留資格を保有し技能を持つ外国人社員から選んだ「特定技能社員枠」を初めて設け、2空港から3チームが出場した。
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JALの第10回グランドハンドリングコンテストで実技を披露する成田空港の東さん(左)と土屋さん=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
—記事の概要—
・新人・一般・特定技能社員で競う
・「抽象表現ではなく具体的な言葉で」
新人・一般・特定技能社員で競う
11チームは、貨物搭降載技術を競う「カーゴチャレンジ」と、車両走行技術を競う「アヒルチャレンジ」の2競技に挑戦した。カーゴチャレンジは、大きさの異なる貨物をコンテナに積載する時間や技術を審査。ラベルどおりの搭載やチームの声掛け、搭載量などを制限時間6分間で競う。
アヒルチャレンジは、クランクやS字コーナーなどで構成する複雑なコースを、トーイングトラクター(TT車、貨物けん引車)でカートをけん引しながらゴールを目指す。カートには水を目いっぱい張った風呂おけを2つ置き、アヒルのおもちゃを7つずつ計14羽浮かべる。1人1周ずつ挑戦し、発進時や一旦停止時の指差呼称や、風呂おけに残った水量、アヒルの落下などで審査する。制限時間は7分。
今回は「特定技能社員枠」として、羽田から2チーム、成田から1チームの計3チームが参加。それぞれ入社2年から4年で、フィジーや韓国など多国籍の外国人社員がグラハン技術を競った。特定技能社員枠は予選を免除した。
またこれまで同様、入社2年未満を対象とした「新入社員枠」、年次を問わずJALグループ便のグラハン業務に従事する「一般社員枠」のチームも参加。いずれも予選を勝ち上がったチームが、各空港を代表して出場した。新入社員枠は羽田と成田、熊本の3空港から1チームずつ、一般社員枠は山口宇部と女満別、高松、中部、羽田の5空港から1チームずつが参加した。
出場チームはコミュニケーション力を披露。TT車の再発進前には「前方よし、後方よし」と声をそろえて確認するなど、息の合ったコンビネーションをみせた。
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羽田空港で開催したJALの第10回グランドハンドリングコンテスト=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
「抽象表現ではなく具体的な言葉で」
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羽田空港で開催したJALの第10回グランドハンドリングコンテストで総評する堀尾本部長=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
コンテスト終了後に総評したJAL空港本部長の堀尾裕子執行役員は、出場11チームについて「いずれも僅差だった」と評価。アヒルチャレンジでアヒルをこぼしたチームはなかったことから「皆さんアヒルを救ってくれた」とたたえた。
堀尾本部長は、空港やランプ(駐機場)の現場でデジタル化を進めていくとした上で、「皆さんはこれから、AI(人工知能)に教える“先生”になる可能性もある。技量は教え合うことで上がっていく。気をつけていることを抽象表現ではなく、具体的な言葉で伝えるようにして」と11チームの出場者に語りかけ、ノウハウが人材だけでなくロボティクスの成長にもつながる、とした。
優勝は、新入社員枠として出場した成田空港の東さん・土屋さんチーム。2位は一般社員枠として出場した高松空港の大塚智隆さん(13年目)と齊藤恵大さん(6年目)のチームで、3位は特定技能枠として出場した羽田空港のオリレナ アンディさん(2年目)とフランシスコ ジェイ ラピズさん(2年目)のチームとなった。
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JALの第10回グランドハンドリングコンテストで実技を披露する成田空港の東さん土屋さんペアを見守る関係者(手前)=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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羽田空港で開催したJALの第10回グランドハンドリングコンテスト=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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羽田空港で開催したJALの第10回グランドハンドリングコンテスト=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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JALのグランドハンドリングコンテストでひっくり返ったアヒルのおもちゃを直す審査員=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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JALのグランドハンドリングコンテストで出番を待つアヒルのおもちゃ=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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JALのグランドハンドリングコンテストに出場した女満別空港チームを応援する関係者=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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JALの第10回グランドハンドリングコンテストで優勝した成田空港の東さん(左)と土屋さん=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
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羽田空港で開催したJALの第10回グランドハンドリングコンテストの出場者=25年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
出場した11チーム(順位順、敬称略)
1位:成田空港(新入社員枠)
チーム名:MAYU☆HARU
東茉優香(2年目)
土屋啓楓(1年目)
2位:高松空港(一般社員枠)
チーム名:ぽんた
大塚智隆(13年目)
齊藤恵大(6年目)
3位:羽田空港(特定技能枠)
チーム名:Halo-Halo
オリレナ アンディ(2年目)
フランシスコ ジェイ ラピズ(2年目)
4位:中部国際空港(一般社員枠)
チーム名:around 40 pride
井上雄平(18年目)
西村生史(17年目)
5位:羽田空港(一般社員枠)
チーム名:GENKI
椎葉元気(20年目)
中島和沙(17年目)
6位:羽田空港(特定技能枠)
チーム名:oneworld
チェ ジョンウォン(4年目)
パシヤ ジャン レリー サンチェス(2年目)
7位:熊本空港(新入社員枠)
チーム名:くまモン空軍いきなり団子部隊
田代大貴(1年目)
後藤優摩(1年目)
8位:女満別空港(一般社員枠)
チーム名:北の国から2025~挑戦
尾形祐樹(7年目)
千棒隼(5年目)
9位:山口宇部空港(一般社員枠)
チーム名:W-HIROKI
梶原寛基(17年目)
奥山広記(5年目)
10位:羽田空港(新入社員枠)
チーム名:MEI
末吉芽衣(2年目)
河島周平(2年目)
11位:成田空港(特定技能枠)
チーム名:ブレイン・バグ・ハーズ
オピョー ティハ トー(2年目)
キャロライン デラマルム(2年目)
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