エアライン, 企業 — 2025年1月29日 14:35 JST

DHL、コスモ石油と国産SAF調達契約 年間720万リットル供給へ

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 独DHLエクスプレス(DHL Express)と、コスモエネルギーホールディングス(5021)傘下のコスモ石油マーケティング(東京・芝浦)の両社は1月28日、持続可能な航空燃料(SAF)の調達契約を締結した。4月から年間720万リットルの国産SAFを調達し、日本発の定期貨物便で使用を開始する。DHLにとってアジア初となるSAFの調達事例で、今回の調達分は中部空港で供給される。

SAFの調達契約で調印したコスモ石油マーケティングの森山幸二社長(左)とDHLジャパンのトニー・カーン社長(コスモ石油提供)

コスモ石油の堺製油所で建設が進むSAFの大規模生産プラント(同社提供)

 SAFは、コスモ石油らが設立したSAFFAIRE SKY ENERGY(サファイアスカイエナジー、横浜市)が製造する。同社はコスモ石油堺製油所(大阪府堺市)内に日本初の大規模生産プラントを建設中で、2025年度初頭の稼働開始を目指す。年間の生産量は約3万キロリットルを計画。これにより、DHLは安定した国産SAFの供給を確保し、日本国内での持続可能な航空貨物輸送を加速させる。

 DHLのSAF調達はこれまで欧米を中心に進められてきたが、今回の契約により中部空港がアジア初のSAF調達拠点となる。DHLはアムステルダムやストックホルム、ロサンゼルスなどの空港でSAFを活用しており、国際輸送でのCO2(二酸化炭素)排出削減を進めている。

 SAFFAIRE SKY ENERGYは、コスモ石油と日揮ホールディングス(1963)、レボインターナショナル(5022)の3社が2022年11月に設立。廃食用油を原料とし、国産SAFの製造・供給を手掛ける。国内では年間約50万トンの廃食用油が排出されており、そのうち家庭系廃食用油10万トンの多くが廃棄されている。このため、事業系廃油の回収促進や家庭系廃油の資源化が課題とされている。

 同社が製造する国産SAFは、全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)にも2025年度から供給する。

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