トキエア(TOK/BV)は12月19日、16日から続いている全便欠航に対する説明を自社のウェブサイトやSNSに掲載した。同社が運航する仏ATR製ターボプロップ(プロペラ)機ATR72-600型機全2機が、2機とも同じ日に整備が必要となったため。今回の全便欠航を公の場で説明したのは初めてだが、一方で17日までは報道各社へ届いていたプレスリリースとしては発出していないもようだ。
発表によると、2機のうち初号機(登録記号JA01QQ)は中部空港(セントレア)で燃料系統の不具合が発生。交換が必要な部品調達に時間がかかり、18日夜に整備作業を終えたとしている。
発表内容に発生日の記載はないが、Aviation Wireの調べでは15日午前に運航した新潟発中部行きBV401便の運航後、不具合が発生したとみられる。整備作業を終えた初号機は、中部を19日午前11時11分ごろ離陸し、フェリーフライト(回航便)で新潟空港へ向かっている。運航再開は、早ければ19日の新潟午後7時発の仙台行きBV203便と、折り返しの仙台午後8時10分発の新潟行きBV204便の1往復2便になる見通し。
一方、2号機(JA02QQ)も同じ15日に中部から新潟へ向かう際に被雷。現在は機体の被害状況の確認と整備作業の計画をまとめている段階で、運航復帰までにはしばらく時間がかかるとみられる。
トキエアは今年1月31日に就航し、現在は3路線運航。新潟-札幌(丘珠)線と仙台線をそれぞれ1日2往復ずつ、新潟-中部線を月曜と金曜、土曜、日曜の週4日運航している。3号機として1クラス46席予定のATR42-600型機(登録記号F-WNUJ、日本登録時JA03QQ)を受領し、ATRの最終組立工場がある仏トゥールーズから12月7日に那覇空港へ到着したが、路線投入する準備を進めている段階で、就航日は決まっていない。
当初は2022年に就航する計画だったトキエアは、規程類の見直しなどで延期が繰り返され、約2年遅れで就航した。こうした経緯もあり、毎月のように経営状況を不安視する噂が業界内に流れているのが実情だ。航空会社は民間企業ではあるものの、公共交通機関は地元住民などへの影響も大きく、利用者に適切な情報開示が求められる。
一方で、規模の大きな航空会社であっても、乗客数が多い国内線幹線が機材理由などで数時間遅れるようなトラブルについて、コロナ後は積極的な公表を避ける会社と、細かな事象も明らかにする会社に大別されており、情報開示に温度差がみられる。小さなトラブルであっても大規模な事故の遠因にならないよう、目を向け続けることが不可欠だ。同時に、情報を受け取る報道機関や利用者も、航空会社などに対して冷静な反応が求められる。
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トキエア
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