エアライン, 空港 — 2024年12月5日 14:40 JST

ANA井上社長、ミラノ増便視野 時期未定も「デイリー必須」

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 全日本空輸(ANA/NH)の井上慎一社長は現地時間12月4日(日本時間5日)、前日3日に就航した羽田-ミラノ(マルペンサ)線の展望をミラノ市内のホテルで報道陣に語った。同路線は週3往復で始め、時期は未定としながらも、将来的な週7往復(1日1往復)のデイリー化を目指したいとした。

ミラノ市内のホテルでミラノ線の展望を語るANAの井上社長=24年12月4日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
25年夏「利用率9割目指す」
ITA連携はイタリア周遊で利活用も
“ダ・ヴィンチのヘリ”アピール

25年夏「利用率9割目指す」

 井上社長は週3往復のミラノ線について、「ビジネス需要にはデイリー運航が必須。海外の航空会社が供給量を増やしているので、ご期待にお応えする意味でもチャレンジしたい」と述べ、将来的な増便を目指す意向を示した。ミラノ滞在中、多くのイタリア人から訪日を希望する思いを強く実感したという。「需要を的確に捉えサービスを提供し、搭乗率を上げたい」と、2025年夏の繁忙期には利用率9割を目指したいと語った。

ミラノを出発するANAの羽田行き初便のNH208便=24年12月3日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ANAのミラノ就航は約25年8カ月ぶりで、羽田からは初就航。四半世紀ぶりとなるミラノ線の継続には「日伊双方の旅客需要の喚起と貨物の2つが重要」との認識を示し、旅客・貨物の需要の獲得に注力する姿勢を示した。初便の貨物は満載だったものの、ミラノへの貨物専用機の運航は計画していないという。

 井上社長はミラノについて「観光、ビジネス、貨物の市場がたくさんある。非常に有望なポテンシャルを秘めたマーケットだと思っている」と評価した。

ITA連携はイタリア周遊で利活用も

 ANAは、イタリア国営のITAエアウェイズ(ITY/AZ)とコードシェア(共同運航)を核とした提携契約を締結済みで、羽田-ミラノ線にもITAの「AZ」便名を付与している。一方、ITAはミラノ郊外にあるマルペンサ空港からは撤退済みで、ミラノ路線は市中心部に近いリナーテ空港に集約し、欧州を中心とした近距離路線を運航している。

ITAエアウェイズが就航するミラノ中心部に近いリナーテ空港=24年12月4日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ITAは現在、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザ・グループが買収を進めている。ANAはルフトハンザ本体と共同事業(JV)を展開するなど、関係が深い。

 ANAとITAの連携について、井上社長は「ミラノ市内に宿泊すると、リナーテ空港が近い。リナーテからは、ローマをはじめとしたイタリア国内への利便性が確保できている」とし、ANAがコードシェアするITAのローマ-羽田線も活用したイタリア周遊などへの利用が考えられるとした。

“ダ・ヴィンチのヘリ”アピール

 井上社長はイタリアの現地報道17社にも、ミラノ線の展望などを説明。現地メディアからは料金面などを質問する場面もみられた。井上社長はこのほか、2月に来日した場合に北海道では冬、石垣島では夏を体験できるなどの、日本への旅行もアピールした

イタリアの現地メディアにプレゼンするANAの井上社長(奥)=24年12月4日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

レオナルド・ダ・ヴィンチのヘリコプターの原型といわれるスケッチを図案化したANAの旧ロゴ=14年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 同日夜には、イタリアの現地関係者らを招待したガラパーティーも開催し、約210人が参加した。井上社長は、1952年から1982年まで使用していたANAの旧ロゴを紹介。イタリアのルネサンス期を代表する芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチが残したヘリコプターの原型といわれるスケッチを図案化したものとした上で、「ANAのイタリアの大切なご縁だ」と述べた。

 パーティーには、マルペンサ空港を運営するSEA空港公団のルイジ・バットゥエッロCCO(最高商務責任者)らも参加。井上社長とバットゥエッロCCOはプレゼントを交換し合うなど、交流を深めた。またパーティーのオープニングで、日本から招いた太鼓チームがパフォーマンスで“日本らしさ”を演出すると、出席者からは拍手と歓声が飛んだ。

*写真は9枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。

青いペンライトを振るANA社員らに見送られて羽田空港を出発するミラノ行き初便NH207便=24年12月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ミラノ・マルペンサ空港に着陸したANAの羽田発NH207便初便=24年12月3日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ANAのミラノ就航記念のガラパーティーをパフォーマンスで盛り上げる太鼓チーム=24年12月4日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ミラノ就航記念のガラパーティーであいさつするANAの井上社長(奥)=24年12月4日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ミラノ就航記念のガラパーティーで記念品を交換し合うANAの井上社長(左から2人目)とSEA空港公団のバットゥエッロCCO(右から2人目)=24年12月4日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

運航スケジュール
NH207 羽田(01:05)→ミラノ(08:30)運航日:火木日
NH208 ミラノ(10:30)→羽田(翌日07:30)運航日:火木日

関連リンク
全日本空輸

初便就航
ANA、ミラノ初便が羽田へ 井上社長「日伊関係強くする路線」(24年12月3日)
ANA、羽田-ミラノ就航 25年ぶり、貨物も期待(24年12月3日)

7月に計画発表
ANA、羽田-ミラノ12月就航 ストックホルム・イスタンブールは年明け、欧州路線拡大(24年7月19日)

計画以降の動き
ANA、ロシア上空「当面飛べない」国際線計画見直しへ(23年7月28日)
ANAの羽田国際線、新7路線の航空券発売 SFO・モスクワ・ミラノ・ストックホルム・イスタンブール・青島・深セン(20年1月27日)
ANAの羽田国際線、夏休みまでに全14路線 増枠分の日程出そろう 20年度計画(20年1月23日)
ANAの羽田国際線、パイロット移行で就航ずれ込み デュアルハブで成田活用(19年12月13日)
「本当にパイロット問題だけなのか」羽田・成田が疑問抱く”ANAが飛べない理由”(19年12月10日)
ANAの羽田国際線、12新路線 成田の米国5路線運休・減便へ 20年夏(19年11月19日)

ITA
ルフトハンザのITA買収、発着枠の一部譲渡先にイージージェットら 欧州委が3社承認(24年12月5日)
ルフトハンザのITA買収、欧州委が条件付き承認 発着枠の一部譲渡など(24年7月4日)
ルフトハンザ、伊ITA株41%取得で合意 全取得も視野(23年5月26日)
ANA、伊ITAエアウェイズとコードシェア アライアンスまたぎ1/24から(24年1月12日)
伊ITAエアウェイズ、羽田-ローマ就航 A350で週3往復(22年11月6日)
伊ITAエアウェイズが運航開始 羽田就航も、アリタリアに代わる新国営航空会社(21年10月15日)