福岡空港を運営する福岡国際空港会社(FIAC)は11月25日、カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する基本方針を12月1日に策定すると発表した。利用客の意見や要望を踏まえ施設・サービスを改善する一方、カスハラに対してはスタッフを守るため組織的に対応していく。
FIACはカスハラについて、利用客らからのクレーム・言動のうち「内容が妥当性を欠くもの」「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当で、手段・態様により、スタッフの就業環境が害されるもの」と定義。厚生労働省が2022年2月に発行した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づき制定した。
カスハラの対象となる行為例として、1)長時間の拘束、繰り返しの要求、2)大声、暴言・恫喝などによる威圧的言動、差別的発言、脅迫、3)暴行、危険を感じさせるような暴力的行為、4)過剰な要求、5)会社やスタッフの名誉、プライバシーを侵害するような誹謗中傷、SNSなどへの投稿、6)つきまといや盗撮、卑猥な言動などのセクシャルハラスメント行為、の6つを挙げた。
FIACがカスハラに該当すると判断した場合、社外対応としては止めるように忠告。継続する場合には利用者対応を中断・中止し、悪質な言動や犯罪行為を警察・弁護士などに相談後に厳正に対処する。
社内対応としては、カスハラからスタッフを守るため、発生時に適切な判断・対応が可能な体制を構築し、スタッフへ手順を啓発・教育する。また、カスハラを受けたスタッフへのケア体制や、会社や弁護士に相談できる仕組みを整備する。
福岡空港は2025年3月に、国際線ターミナルのグランドオープンや増設滑走路の供用開始を迎える。カスハラは社会問題化しており、FIACでも一部利用客からのカスハラ行為が見受けられるという。カスハラ対応はスタッフの身体的・精神的な過度な疲弊、体調・メンタルの不調のほか、退職につながる可能性があることから、安定したサービスの提供維持へカスハラ基本方針の制定を決めた。
各社のカスハラ対処方針
・成田空港、カスハラ対策を国内初策定 従業員守り顧客満足向上に(24年10月29日)
・暴言や不当要求「毅然と対応」ANAとJAL、カスハラ対応を共同策定(24年6月28日)
・ANA、カスハラ対策の研修プログラム 企業へレクチャー(24年10月2日)
・スカイマーク、カスハラ対処方針策定(24年8月7日)
・エア・ドゥ、カスハラ対処方針策定(24年7月27日)
・ソラシド、カスハラ対応を策定 毅然と対応、社員守る(24年7月18日)
・スターフライヤー、カスハラ「組織的に対応」方針策定(24年7月18日)
福岡空港
・福岡空港、国際線の施設使用料値上げ 大人2530円(24年11月22日)
・福岡空港、国際線ターミナル3/28全面開業 スマートレーン新設、九州初の優先レーンも(24年11月6日)
・福岡空港、国際線到着ロビー拡張 バスターミナル新設、連絡バスは専用道に(24年10月25日)
・福岡空港、国際線ラウンジ9/27刷新 滑走路の眺めと福岡らしさ演出(24年9月26日)
・福岡空港、国際線に自動手荷物預け機 5/13から(24年5月10日)
・福岡空港、国際線北側コンコース延伸部分が開業 搭乗橋増設、滑走路眺めて食事も(23年12月1日)
・福岡空港、国際線に新有料待合室 7/1オープン、既存は閉鎖(23年6月30日)
・福岡空港、国際線ラウンジが24年ぶり刷新 電源やビジネス席(23年5月31日)
・福岡空港、国際線ターミナル増改築の起工式 面積倍増で混雑緩和、免税店は4倍に(22年5月20日)