エアライン, 需要, 需要予測 — 2024年11月25日 05:55 JST

冬ダイヤ国際線、提供座席コロナ前13%増 ホノルル・バンコクは減少=ANA総研調べ

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANA総合研究所は、冬ダイヤ(10月27日から25年3月29日)期間中の日本着国際線の提供座席数をまとめた。期間中に計画する提供座席数は2746万席で、2023年冬ダイヤの実績比では17.2%増、コロナ前の2019年実績比では13.4%増となる見通し。航空会社別では全日本空輸(ANA/NH)が首位で223万席(構成比8.1%)、2位は日本航空(JAL/JL、9201)の197万席(7.1%)、3位は大韓航空(KAL/KE)の105満席(3.8%)となる。地域別ではソウルなどが大きく伸ばし、ホノルルやバンコクなどはコロナ前を下回る見通し。

冬ダイヤの提供座席数がコロナ前を上回る通しの日本着の国際線(資料写真)=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 データ算出には、コンピューター予約システムに登録された11月8日時点の提供座席数を用いた。また航空業界では輸送力を示す単位として、座席数と距離を掛け合わせた座席キロ(ASK)を用いるが、ANA総研のリポートでは訪日客に対応する輸送力分析のため座席数を用いている。このほかFSC(フルサービス航空会社)とLCC(低コスト航空会社)の種別は、コンピューター予約システムの区分により振り分けた。

—記事の概要—
海外発地域別
国内就航地別
フルサービスとLCC別

海外発地域別

 海外の地域別では、南北アメリカ大陸とハワイなどの「TC1」が257万席(19年同期比4.0%減)で構成比が9.3%、欧州や中東・アフリカなどの「TC2」は145万席(12.3%減)で構成比5.2%、アジア・オセアニアなどの「TC3」は2344万席(17.9%増)で構成比85.3%となる。アジア・オセアニアはコロナ前を上回る一方、米大陸方面と欧州方面はコロナ前を下回る。

 地域別でみると、24空港あるTC1のうち提供座席数が増加するのは14空港(29万2000席増)で、ニューヨーク(7万6000席増)、サンフランシスコ(5万6000席増)、ロサンゼルス(4万9000席増)の順で多い。減少するのは10空港(39万9000席減)で、ホノルル(26万席減)、コナ(4万8000席減)、サンノゼ(2万6000席減)の順で減少する。

 24空港あるTC2のうち提供座席数が増加するのは6空港(25万9000席増)で、ドーハ(13万3000席増)、イスタンブール(8万5000席増)、ザイード(旧アブダビ、3万6000席増)の順で多い。減少するのは18空港(46万2000席減)で、モスクワ(8万5000席減)、ヘルシンキ(7万1000席減)、パリ(6万2000席減)の順で減少する。

 101空港あるTC3のうち提供座席数が増加するのは38空港(539万席増)で、ソウル(232万3000席増)、台北(62万4000席増)、香港(59万9000席増)の順で多い。減少するのは63空港(182万4000席減)で、バンコク(39万5000席減)、グアム(21万6000席減)、天津(11万6000席減)の順で減少する。

国内就航地別

冬ダイヤの日本着国際線の提供座席数(ANA総研の資料からAviation Wire作成)

 36空港ある日本国内の就航地別では、上位3空港のうち成田が812万席(19年同期比6.4%減)で最多で、関西が657万席(18.0%増)、羽田が586万席(38.9%増)と続く。3空港のうち成田はコロナ前を下回り、関空と羽田は上回る見通し。那覇や新千歳、中部、仙台など残り33空港は689万席で、コロナ前の20.1%増となる。

 上位3空港を路線別でみると、成田はソウル(54万9000席増)、香港(21万1000席増)、台北(19万席増)などでコロナ前超えとなり、ホノルル(21万6000席減)、バンコク(18万席減)、グアム(11万6000席減)などでコロナ前を下回る見込み。

 関空はソウル(55万9000席増)、香港(19万1000席増)、上海(16万席増)などでコロナ前超えとなり、ホノルル(10万席減)、天津(8万席減)、グアム(5万9000席減)などでコロナ前を下回る見込み。

 羽田はニューヨーク(15万4000席増)、ロサンゼルス(14万1000席増)、上海(12万席増)などでコロナ前超えとなり、ハノイ(3万8000席減)、ダナン(3万2000席減)、バンコク(2万5000席減)などでコロナ前を下回る見込み。

フルサービスとLCC別

 フルサービス航空会社とLCC別では、フルサービスが69社1861万席となり、2019年同期比3.2%増。LCCは29社885万席で43.1%増となり、フルサービス・LCCともにコロナ前を上回る見通し。構成比率はフルサービスが67.8%、LCCが32.2%で、コロナ前と比較するとフルサービスが6.7ポイント低下、LCCが6.7ポイント上昇する。

 フルサービスの減少を路線別でみると、4社が運航するホノルル線がコロナ前の20万3000席減(27.7%減)の53万1000席で、デルタ航空(DAL/DL)やJALなどで減少。3社のマニラ線は12万席減(24.8%減)の36万5000席で、フィリピン航空(PAL/PR)とJAL、デルタ航空で減少した。4社のバンコク線は8万6000席減(9.4%減)の83万8000席で、ANAやタイ国際航空(THA/TG)などで減少した一方、ANAHD傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が、今年2月から新ブランド「AirJapan」の運航を始めたことで増加した。

 LCCでは、5社が運航するバンコク線が30万9000席減(40.5%減)の45万5000席で、会社清算済みのノックスクート・エアライン(NCT/XW)のほかタイ・ライオン・エア(TLM/SL)、タイ・エアアジアX(TAX/XJ)などで減少。一方、タイ・エアアジア(AIQ/FD)とタイ・ベトジェットエア(TVJ/VZ)、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)などは増加した。

 2社が運航する天津線は8万7000席減(52.7%減)の7万8000席で、天津航空(GCR/GS)、奥凱航空(OKA/BK)、春秋航空(CQH/9C)などで減少。グアム線はコロナ前にチェジュ航空(JJA/7C)とティーウェイ航空(TWB/TW)の韓国LCC 2社が運航していたが、現在は運休している。

関連リンク
ANA総合研究所

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