10月31日に定期便の運航を終えた全日本空輸(ANA/NH)のボーイング767-300BCF貨物機(登録記号JA8323)が11月5日夜、成田空港から羽田空港へフェリー(回航)された。機齢32年と、定期便を運航する日本の航空会社が国土交通省航空局(JCAB)に登録している航空機ではもっとも古い機体で、月内にも海外の売却先へ向かう見通し。
フェリーフライトのNH9351便として、JA8323は成田空港のA滑走路(RWY34L)を午後5時51分に離陸。霞ヶ浦の手前で左旋回して九十九里から太平洋へ一度出た後、千葉県いすみ市から房総半島へ入り、君津市で右旋回後、木更津市上空を通過して羽田空港のC滑走路(RWY34R)へ午後6時20分に着陸し、同27分に710番スポットへ到着した。
JA8323は、32年前の1992年にANAの旅客機として引き渡された767-300ERを、2010年に貨物機へ改修した「BCF(ボーイング・コンバーテッド・フレーター)」と呼ばれる貨物専用機。旅客機時代は、エアージャパン(AJX/NQ)の前身となる国際チャーター便の運航会社ワールドエアーネットワーク(WAC)の機材としても運航された。
旅客機は通常、就航から20年程度運航され、貨物機に改修された場合はさらに10年から15年程度飛ぶ。JA8323の場合、旅客機として18年、貨物機として14年の合わせて32年にわたり飛び続けた。
自動車のナンバーにあたる登録記号は、かつては8000番台がジェット機やターボプロップ機に割り当てられ、定期便を運航する航空会社の機体は、ほとんどが日本国籍を示す「JA」と8000番台の数字を使用していた。
1996年から運用が始まった現行の登録記号取扱規則では、数字とローマ字(英大文字)を組み合わせたものも登録できるようになり、従来からの数字4文字に加え、数字3文字とローマ字1文字、数字とローマ字2文字ずつの2種類も登録できる。このため、ANAの貨物機でも、新造機の767-300Fは2002年9月に初受領した「JA601F」など、末尾にローマ字を組み合わせた登録記号になっている。
JA8323最後の貨物定期便は、成田発が10月30日午後8時35分発(定刻ベース)の広州行きNH8489便、成田着が折り返しとなる31日の広州午前2時45分発(同)NH8490便で現役を退いた。今後は羽田で売却前の整備作業が行われる。
11月時点のANAの767貨物機は、新造機767-300Fが4機(JA601F、JA602F、JA604F、JA605F)、改修機767-300BCFが2機(JA8970、JA603A)の計6機となる。
ANAの767F新造機
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