シンガポール航空(SIA/SQ)は現地時間11月4日、エアバスA350-900型機の客室改修を実施すると発表した。超長距離仕様のA350-900ULRなど計41機が対象で、A350-900ULRにはファーストクラスを新たに設ける。新しいファーストとビジネスクラスのシートは、今後受領する次世代大型機ボーイング777-9(777X)型機にも搭載を予定している。
—記事の概要—
・A350-900ULRにファースト
・26年ごろ詳細発表
A350-900ULRにファースト
改修対象は長距離路線仕様のA350-900が34機と、超長距離路線仕様のA350-900ULR(Ultra-Long Range)が7機。11億シンガポールドル(約1268億円)を投資し、改修初号機となるA350-900長距離仕様機は2026年第2四半期に、A350-900ULRの初改修機は2027年第1四半期にそれぞれ就航を予定しており、2030年末までに全41機の改修完了を目指す。
新仕様機の座席数は、A350-900ULRが3クラス132席で、ファースト4席、ビジネス70席、プレミアムエコノミー58席。現行は2クラス161席で、ビジネス67席、プレミアムエコノミー94席となっており、エコノミークラスは改修後も設けない。
長距離路線用A350-900の新仕様は3クラス258席で、現行の3クラス253席と比べてエコノミークラスが5席増える。
26年ごろ詳細発表
A350-900ULRに導入するファーストクラスは、「世界最長路線による旅行の新たな業界基準」を目指すとしており、「ますます目が肥えてきた旅行者のニーズを考慮して設計する」という。
燃料タンクの増設などで航続距離を伸ばしたA350-900ULRは、2018年9月23日に初号機(登録記号9V-SGA)を受領。同年10月11日からシンガポール-ニューアーク線に就航し、片道19時間近いフライトとなっている。現在はニューヨーク対岸のニューアーク・リバティー国際空港だけでなく、ジョン・F・ケネディ国際空港、ロサンゼルスなどにも乗り入れている。
41機全機に導入する新ビジネスクラスは、革新的なデザインを採用し、プライバシーや快適性、利便性をさらに高めるとしている。また、プレミアムエコノミークラスとエコノミークラスもリニューアルする。
機内エンターテイメント(IFE)システム「クリスワールド」も次世代のものに刷新。パーソナライゼーションの向上と、全クラスで幅広いライフスタイルにあった選択肢を提供するという。
新シートなどの詳細は、777-9の初受領かA350-900の新仕様機の就航が近づいた時点で発表するという。ボーイングの開発遅延などで納入が遅れている777-9は、2017年10月に20機発注し、2021年2月に発注変更で11機を追加したことで、現在は31機を受領する計画となっている。
シンガポール航空は当初、777-9の受領開始を2021年度に予定していたが、ボーイングが航空会社へ初納入できるのは現時点で2026年としており、さらに遅れる可能性がある。
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