エアライン, 業績, 解説・コラム — 2024年11月2日 23:59 JST

JAL、純利益19.1%減498億円 スプリングJ通期黒字化へ=24年4-9月期

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 日本航空(JAL/JL、9201)が11月1日に発表した2024年4-9月期(25年3月期第2四半期)連結決算(IFRS)は、純利益が前年同期比19.1%減の498億7800万円だった。売上収益は2010年1月の経営破綻後では最高を記録した。2025年3月期の通期連結業績予想は据え置き、純利益は前期(24年3月期)比4.7%増の1000億円を目指す。

—記事の概要—
FSC
LCC非航空
財務為替
25年3月期通期予想
*ANAHDの4-9月期決算はこちら

FSC

 4-9月期の売上収益は9.9%増の9018億1700万円、本業のもうけを示すEBIT(財務・法人所得税前利益)は6.1%減の856億8700万円と、増収減益となった。経営破綻後最高を記録した売上収益は、航空・非航空事業とも前年同期を上回った。

24年4-9月期決算を発表するJALグループCFOの斎藤祐二副社長=24年11月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 営業費用は11.9%増の8243億円で、EBITマージンは1.6ポイント低下し9.5%。費用のうち燃油費は13.1%増の1923億円、整備費は16.6%増の703億円、人件費は11.1%増の174億円だった。

 売上収益のうち、JALを中核とするFSC(フルサービス航空会社)事業が6.7%増の7101億円。このうち、国際旅客収入が8.3%増の3405億円、国内旅客収入が2.0%増の2804億円、貨物郵便事業が19.2%増の797億円だった。

 国際旅客は、旺盛なインバウンド(訪日)需要を取り込みつつ、回復傾向にある日本発需要を取り込んだ。有償旅客数は9.9%増の362万1285人、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は4.2%増の247億2969万1000座席キロ、有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)は7.8%増の202億8277万5000人キロ、ロードファクター(座席利用率、L/F)は2.7ポイント上昇し82.0%だった。

 旅客収入を有償旅客数で割った単価は1.5%減の9万4030円、ASKで割ったユニットレベニューは4.0%増の13.8円、RPKで割ったイールドは0.5%増の16.8円となった。

 国内旅客は、団体旅客需要に回復傾向がみられた。有償旅客数が1.4%減の1728万6539人、ASKは0.1%増の176億5431万7000座席キロ、RPKは0.6%減の132億2142万2000人キロ、L/Fは0.5ポイント低下し74.9%となった。単価は3.4%増の1万6224円、ユニットレベニューは1.9%増の15.9円、イールドは2.6%増の21.2円だった。

 貨物事業は、国際貨物は自社運航のボーイング767-300BCF貨物機3機を活用。需要が旺盛な北米向けの単価向上や医薬品などの高付加価値貨物の獲得を強化した。国内貨物は、ヤマトホールディングス(9064)とのエアバスA321ceo P2F型貨物機事業が8月から羽田に就航するなどネットワークを強化した。

 グループCFO(最高財務責任者)を務める斎藤祐二副社長は、767-300BCFについて「さらに追加することは考えていないが、しっかり対応していく」と、当面は現行体制の足場固めに注力する。

LCC非航空

 ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)を中核とするLCC(低コスト航空会社)事業は、旅客収入が43.4%増の453億円。中国を中心とするスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)が8月以降、高需要が見込まれる北京と上海(浦東)へ就航したことが奏功し、スプリングの通期黒字化が視野に入った。

 中長距離LCCのZIPAIRは、旅客収入が40.6%増の351億円、スプリング・ジャパンは53.9%増の101億円となった。有償旅客数はZIPAIRが25.6%増の68万人、スプリングは37.6%増の53万7000人で、ロードファクター(座席利用率)はZIPAIRが1.9ポイント上昇して81.3%、スプリングが9.3ポイント上昇し81.5%と、両社とも8割を超えた。

 単価はZIPAIRが11.9%増の5万1598円、スプリングが11.8%増の1万8969円、ユニットレベニューはZIPAIRが9.8%増の7.3円、スプリングが3.2%減の11.6円、イールドがZIPAIRは7.2%増の9.0円、スプリングは14.2%減の14.2円となった。

 また、非航空系事業となるマイル・ライフ・インフラ事業の売上収益は、18.3%増の1462億円。発行マイル数の増加や、傘下の商社JALUXが増収となったことが奏功した。また、海外の航空会社による運航便のグランドハンドリング業務受託が増えた。

財務為替

 有利子負債は9319億円で、今年3月末から446億円増加。自己資本比率は33.2%で同1.2ポイント低下し、ハイブリッド・ファイナンスを加味した格付評価上の自己資本比率は39.5%で同1.4ポイント低下した。

 為替の実績は1米ドル154.0円で、燃油はシンガポールケロシンが1バレル98.0米ドル、ドバイ原油が83.6米ドルとなった。

25年3月期通期予想

 通期業績予想は据え置き。売上収益が前期(24年3月期)比16.8%増の1兆9300億円、EBITが17.1%増の1700億円、純利益は4.7%増の1000億円を見込む。年間配当予想は1株80円から変更はなく、中間配当は40円に決定した。

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