エアライン, 業績, 解説・コラム — 2024年11月1日 11:43 JST

ANA、通期予想を上方修正 24年4-9月期純利益は13.3%減807億円

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 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が10月31日に発表した2024年4-9月期(25年3月期第2四半期)連結決算(日本基準)は、純利益が前年同期比13.3%減の807億7800万円だった。売上高が上期で過去最高となる9.7%増の1兆995億円となり、訪日需要が好調で国際線旅客収入も上期の過去最高を更新した。

 通期連結業績予想は経常益と純利益を上方修正。補償獲得による営業外収益の増加によるもので、純利益は23.6%減の1200億円(同1100億円)を見込む。

—記事の概要—
24年4-9月期
25年3月期予想

24年4-9月期

 4-9月期の売上高は9.7%増の1兆995億8700万円、営業利益は16.5%減の1083億7400万円、経常利益は11.7%減の1123億8300万円で、売上高は上期として過去最高、営業益は当初計画をやや上回る着地となった。

24年4-9月期決算を発表するANAホールディングスの芝田浩二社長=24年10月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 営業費用は13.6%増の9912億円で、営業利益率は3.1ポイント下落し9.9%。航空事業の営業費用のうち、燃油費・燃料税は9.8%増の2061億円、空港使用料は27.8%増の534億円、整備部品・外注費は32.4%増の1030億円、人件費は12.2%増の1111億円だった。

 旅客収入の内訳は、国際線が8.8%増の3901億円、国内線は7.2%増の3462億円、LCCのピーチ・アビエーション(APJ/MM)が5.8%増の712億円、今年2月に就航した新ブランド「AirJapan」が付帯収入も含めて42億円。貨物収入は、国際線が18.7%増の887億円、国内線が2.6%増の112億円となった。

 国際旅客は旺盛なインバウンド(訪日)需要に加え、日本発の出張・旅行需要が回復傾向に入りつつあることで、前年同期を上回り上期最高の旅客収入となった。

 国内線は、エアバスA320neoファミリー全33機が搭載する米プラット&ホイットニー(PW)製エンジン「PW1100G-JM」の点検作業の影響で、1月から減便が発生していたが、8月以降は解消した。

 有利子負債残高は1兆3822億円(24年3月期末比1018億円減)。自己資本比率は30.1%(同0.8ポイント上昇)となった。

 為替と燃油は、為替レートが1米ドル153.9円、燃油費はドバイ原油が1バレル83.6米ドル、シンガポールケロシンが1バレル97.9米ドルとなった。今期は為替レートの当初計画値が140円で、下期(10-3月期)は145円を想定している。

 ANAHDの芝田浩二社長は、現在の為替水準について「どちらかというと、もう少し円高の方が収入と費用のバランスが取れて、日本のお客様も海外に行きやすくなる。(1米ドル)125円とか130円に向かう方向性を示していただければ、とてもありがたい」と語った。

25年3月期予想

 2025年3月期通期の連結業績予想は、補償獲得による営業外収益の増加により、4月26日の発表から経常利益と純利益を100億円ずつ上方修正。売上高が前期(24年3月期)比8.0%増の2兆2200億円、営業益が18.2%減の1700億円、経常益が18.1%減の1700億円(見直し前は1600億円)、純利益は23.6%減の1200億円(同1100億円)を見込む。

 配当予想は従来から変わらず、期末配当1株50円を想定している。

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