中国を訪問した柘植芳文外務副大臣は9月23日(現地時間同日)、孫衛東(そん・えいとう)中国外交部副部長と会談し、中国の深セン日本人学校の児童が18日に殺害された事件を受け、事件の真相解明と明確な説明、中国に在留する日本人の安全確保、根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿に対する取り締まり徹底を求めた。
一方、四川省内の男性幹部がSNSアプリ「微信(WeeChat)」で、日本人の殺害を推奨するかのような発言をしており、故・江沢民氏が本格化させ、習近平政権でも続いている反日教育の影響が、共産党の若手幹部にも大きな影響を及ぼしているといえ、事態の早期好転は難しいとみられる。
柘植副大臣は、事件の動機を含む一刻も早い真相の解明と明確な説明、子どもたちをはじめ在留邦人の安全を確保するための具体的な措置、事件につながったとも言われる日本人学校関連のものを含む、根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿の取り締まり徹底を中国側に求めた。
中国では6月24日にも、蘇州で日本人学校のスクールバスが襲撃され、日本人親子が刺傷される事件が起きており、犯人の男を止めようとした現地の中国人女性(当時54)が亡くなっている。
また、柘植副大臣からは東シナ海情勢や最近の日本周辺での中国の軍事活動、邦人拘束事案などについても提起し、中国側に対応を求めた。
孫副部長は、遺憾・痛惜の意を改めて表明。遺族に対して必要な援助を行っていくことや、中国に在留する日本人を含む外国人の安全確保に言及し、児童はすべての国で優先的に守られるべき対象との考えを示した。
孫副部長は「我々は今回起きた事に驚愕しており、いかなる暴力にも断固反対し、断固取り締まる」と発言したものの、中国外務省の林剣(りん・けん)報道官は、19日の会見で「いかなる国でも起こる可能性がある」と、中国政府には責任がないと受け取れる説明をしており、中国で同様の事件が再び起きる可能性を懸念する声が日本国内で聞かれる。
林報道官は、23日の会見では「中国に反日教育はない」と反論。日本側と中国政府の公式見解には大きな開きがあり、林氏による一連の火に油を注ぐような発言が、日中関係をさらに悪化させかねない状況に陥っている。
また、WeeChatで「我々の規律は日本人を殺すこと」などと発言したのは、四川省カンゼ・チベット族自治州新竜県の黄如一・副治安判事(41)。現地の報道によると、地方政府の関係部門が発言を確認し、対応にあたっているという。
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外務省
中華人民共和国(中国)(外務省 海外安全ホームページ)
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