エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2024年9月8日 23:51 JST

入国しないと入れない「ジュエル」搭乗記・AirJapan 成田-シンガポール線(後編)

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 前編からの続き。ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が、今年2月から運航を始めた新ブランド「AirJapan」。8月23日金曜発の成田-シンガポール線NQ3便を搭乗取材し、現地時間同日午後11時49分(日本時間24日午前0時49分)に着いた。

 本当は到着1時間後にシンガポールを出発する折り返し便で帰国したかったが、出入国審査などの時間を考えると現実的ではないので、24日土曜はチャンギ国際空港で丸1日過ごし、25日深夜に出発する成田行きNQ4便で日曜朝に帰国した。後編では、成田・シンガポール両空港で気になった点などを取り上げる。

シンガポールのチャンギ空港内にある商業施設「ジュエル」。帰国便の搭乗手続き前に再度寄ってみた=24年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
後編
搭乗口前コンビニは外国人客で混雑
トランジットホテル1.8万円
前編
国内線用787より広いシート
Type-CでMacBook Pro充電

搭乗口前コンビニは外国人客で混雑

 成田-シンガポール線の運航スケジュールは、10月26日までの夏ダイヤ期間は、シンガポール行きNQ3便が成田を午後5時35分に出発し、現地時間午後11時55分に着く。成田行きNQ4便はシンガポールを午前0時55分に出発して、成田には午前9時10分に到着する。使用するターミナルは成田が第1、シンガポールが第2で、ANA便と同じだ。

運航スケジュール(10月26日まで)
NQ3 成田(17:35)→シンガポール(23:55)運航日:月木金土日
NQ4 シンガポール(00:55)→成田(09:10)運航日:月火金土日

成田空港のAirJapanカウンター=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港第1ターミナルの保安検査場入口。預け荷物がなければ直行できる=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 成田を出発する際は、オンラインでチェックインが済んでいる場合、預け荷物がなければ保安検査場に直行し、メールで送られてきた搭乗券のバーコードをかざせば搭乗できる。

 機内食はオプションとなるため、フライト中に食事するのであれば事前に注文するか、空港で何か買うことになる。機内食の注文は日本発便は出発24時間前まで、シンガポール発は33時間前まで受け付けており、私はシンガポール行きはカツサンド(1600円)、帰りは深夜便なので注文しなかった。

 寿司(2000円)や親子丼(1600円)、町中華セット(1500円)などもあったが、機内でイベント「空の上の夏祭り」を取材することなどを考えると、手早く食べられるメニューがよさそうだから、という理由で選んだ。

AirJapanの事前予約機内食=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

AirJapanの事前予約機内食のカツサンド=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 食事については、機内よりも成田とシンガポール両空港で注意したほうが良い点があった。成田は私が乗った8月23日に出発した21番ゲート付近の場合、近くにセブンイレブンがあるものの、外国人客でかなり混雑しており、ちょっとした買い物でもかなり待たなければ買えない。少し離れたところにはマツモトキヨシがあったが、ドラッグストアとコンビニでは当然品ぞろえが異なるので、軽食やお菓子を買いたい人は、搭乗ゲート付近では買い物が難しい可能性も想定しておいた方が良いだろう。

 ただし、飲み物は国際線の場合、保安検査場で没収されてしまうので、事前に購入するものはよく考えよう。

 そして、チャンギ空港の場合、搭乗直前に保安検査がある。ターミナルに着き、出国審査を終えると、お店で食べ物や飲み物を買いがちだ。しかし、国際線の保安検査なので飲み物を持っていれば、その場で破棄しなければならない。そして保安検査後は待合室しかなく、売店もトイレもないのでシンガポール発便に乗るときは十分注意したほうがよい。

トランジットホテル1.8万円

 8月23日金曜夜に出発し、シンガポールには現地時間同日の午後11時49分に到着。成田では航空路混雑で出発が43分遅れたが、定刻より6分早く着いた。到着したチャンギ空港のターミナル2館内にはあまり人がいなかったが、スターバックスなどいくつかの店は営業していた。

シンガポールのチャンギ空港ターミナル2=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

シンガポールのチャンギ空港ターミナル2=24年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 AirJapanによると、チャンギに着いた人はタクシーなどで市内へ移動する人が多いという。NQ3便が到着する時間は、すでに市内へ向かうMRT(地下鉄)の終電は出てしまっているので、タクシーを使うか、ターミナル2で時間をつぶすかになるだろう。

 2019年4月17日に開業した大規模商業施設「ジュエル」は、制限エリアではなく一般エリアにあるので、入国しないと中に入れない。ターミナル2からも到着口を出てから連絡通路で移動できるが、一番近いのはターミナル1で到着口の目の前だ。現地に着くまで、ジュエルを「トランジット客を含む制限エリアにいる乗客が時間を潰せる場所」だと思い込んでいたので、まずはトランジットホテルで休み、日が昇ってからジュエルへ行くことにした。

シンガポールのチャンギ空港ターミナル2内にあるトランジットホテル=24年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 私の場合、25日日曜の午前0時55分発のNQ4便で帰国するので、今回は空港からまったく外へ出ないことにした。日付が24日に変わってから、日本で予約しておいたトランジットホテルにチェックインし、午前6時30分まで6時間過ごし、日本円で1万8000円程度だった。市内へ移動するタクシー代や、ホテルで過ごせる時間の短さなどを考えると、ホテル代が高騰している市内へ出るメリットがなく、空港で0.5泊するようなスケジュールを組んだ。

 トランジットホテルをチェックアウト後は、宿泊者が45分使えるホテルのラウンジで朝食をとりながら仕事を進め、その後はターミナル2の中でテーブルがある場所に移って仕事を続けた。

 昼ごろになり、入国審査を通ってターミナル1に直結している商業施設「ジュエル」内を散策。それなりに広い施設だが、帰国便の搭乗手続き開始までは9時間以上ある。ジュエル内のシェイクシャックや、ターミナル3のヘブンリーワンなどで食事をしながら原稿を書くなどして、どうにか時間をつぶした。

 トランジットホテルはシャワーも浴びられるが、隣室と隔てる壁は薄く、いびきなどはよく聞こえてくる点は、念頭に置いておいた方がいいだろう。

シンガポールのチャンギ空港内にある商業施設「ジュエル」。一般エリアなので入国する必要がある=24年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 AirJapanの成田-シンガポール線は、どちらかというと訪日客向けの運航スケジュールだ。しかし、日本人にとってもシンガポール以遠への乗り継ぐ場合や、現地滞在の時間を最大化して観光を楽しみたい旅慣れた人にも向いているだろう。

 夏ダイヤ最終日10月26日搭乗分まではセール運賃も9月17日まで販売しており、シンガポール線は片道1万9160円(税込)から。セール後の冬ダイヤでも、安い時期は2万円台の設定もあった。私は取材でハワイへ1泊3日など、海外旅行では考えにくい旅程をこなすことが多いが、短時間でも目的が明確であれば思ったよりも楽しめるものだ。シンガポール名物「カヤトースト」も、たとえ空港内であっても現地で食べた方がおいしい。

 シンガポールのMRTや路線バスは、クレジットカードのタッチ決済でも乗れるので、気分転換にふらっと出掛けても楽しめるだろう。

関連リンク
AirJapan

搭乗記・AirJapan 成田-シンガポール線
前編 チャンギ空港0.5泊3日の旅

機内で“花火大会”
AirJapan、機内で”花火大会” 日本を感じる「夏祭り」開催中(24年8月24日)

写真特集・ANA新ブランドAirJapan 787-8初号機
ギャレー跡地は広々(24年2月14日)

10月26日搭乗分までのセール
AirJapan、片道2万円以下セール 成田-バンコク・シンガポール(24年9月3日)

冬ダイヤから運賃体系見直し
AirJapan、ソウルも運賃体系見直し 座席指定の対象拡大、冬ダイヤから(24年7月9日)
AirJapan、一部払い戻し可に 運賃体系見直し、冬ダイヤから(24年6月20日)

3路線目はシンガポール
AirJapan、成田-シンガポール就航 ANA新ブランド3路線目、週5往復(24年4月26日)

AirJapan
AirJapan、3号機を25年度受領へ 今年度は2機体制(24年4月26日)
ANA新ブランド「快適性」と「訪日客」が焦点 特集・LCCじゃないAirJapan”いいとこ取り”(22年3月9日)
ANA第3ブランド「AirJapan」787でフルサービスとLCC“良いところ取り”23年度下期就航へ(22年3月8日)