前編からの続き。ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が、今年2月から運航を始めた新ブランド「AirJapan」。8月23日金曜発の成田-シンガポール線NQ3便を搭乗取材し、現地時間同日午後11時49分(日本時間24日午前0時49分)に着いた。
本当は到着1時間後にシンガポールを出発する折り返し便で帰国したかったが、出入国審査などの時間を考えると現実的ではないので、24日土曜はチャンギ国際空港で丸1日過ごし、25日深夜に出発する成田行きNQ4便で日曜朝に帰国した。後編では、成田・シンガポール両空港で気になった点などを取り上げる。
—記事の概要—
後編
・搭乗口前コンビニは外国人客で混雑
・トランジットホテル1.8万円
前編
・国内線用787より広いシート
・Type-CでMacBook Pro充電
搭乗口前コンビニは外国人客で混雑
成田-シンガポール線の運航スケジュールは、10月26日までの夏ダイヤ期間は、シンガポール行きNQ3便が成田を午後5時35分に出発し、現地時間午後11時55分に着く。成田行きNQ4便はシンガポールを午前0時55分に出発して、成田には午前9時10分に到着する。使用するターミナルは成田が第1、シンガポールが第2で、ANA便と同じだ。
運航スケジュール(10月26日まで)
NQ3 成田(17:35)→シンガポール(23:55)運航日:月木金土日
NQ4 シンガポール(00:55)→成田(09:10)運航日:月火金土日
成田を出発する際は、オンラインでチェックインが済んでいる場合、預け荷物がなければ保安検査場に直行し、メールで送られてきた搭乗券のバーコードをかざせば搭乗できる。
機内食はオプションとなるため、フライト中に食事するのであれば事前に注文するか、空港で何か買うことになる。機内食の注文は日本発便は出発24時間前まで、シンガポール発は33時間前まで受け付けており、私はシンガポール行きはカツサンド(1600円)、帰りは深夜便なので注文しなかった。
寿司(2000円)や親子丼(1600円)、町中華セット(1500円)などもあったが、機内でイベント「空の上の夏祭り」を取材することなどを考えると、手早く食べられるメニューがよさそうだから、という理由で選んだ。
食事については、機内よりも成田とシンガポール両空港で注意したほうが良い点があった。成田は私が乗った8月23日に出発した21番ゲート付近の場合、近くにセブンイレブンがあるものの、外国人客でかなり混雑しており、ちょっとした買い物でもかなり待たなければ買えない。少し離れたところにはマツモトキヨシがあったが、ドラッグストアとコンビニでは当然品ぞろえが異なるので、軽食やお菓子を買いたい人は、搭乗ゲート付近では買い物が難しい可能性も想定しておいた方が良いだろう。
ただし、飲み物は国際線の場合、保安検査場で没収されてしまうので、事前に購入するものはよく考えよう。
そして、チャンギ空港の場合、搭乗直前に保安検査がある。ターミナルに着き、出国審査を終えると、お店で食べ物や飲み物を買いがちだ。しかし、国際線の保安検査なので飲み物を持っていれば、その場で破棄しなければならない。そして保安検査後は待合室しかなく、売店もトイレもないのでシンガポール発便に乗るときは十分注意したほうがよい。
トランジットホテル1.8万円
8月23日金曜夜に出発し、シンガポールには現地時間同日の午後11時49分に到着。成田では航空路混雑で出発が43分遅れたが、定刻より6分早く着いた。到着したチャンギ空港のターミナル2館内にはあまり人がいなかったが、スターバックスなどいくつかの店は営業していた。
AirJapanによると、チャンギに着いた人はタクシーなどで市内へ移動する人が多いという。NQ3便が到着する時間は、すでに市内へ向かうMRT(地下鉄)の終電は出てしまっているので、タクシーを使うか、ターミナル2で時間をつぶすかになるだろう。
2019年4月17日に開業した大規模商業施設「ジュエル」は、制限エリアではなく一般エリアにあるので、入国しないと中に入れない。ターミナル2からも到着口を出てから連絡通路で移動できるが、一番近いのはターミナル1で到着口の目の前だ。現地に着くまで、ジュエルを「トランジット客を含む制限エリアにいる乗客が時間を潰せる場所」だと思い込んでいたので、まずはトランジットホテルで休み、日が昇ってからジュエルへ行くことにした。
私の場合、25日日曜の午前0時55分発のNQ4便で帰国するので、今回は空港からまったく外へ出ないことにした。日付が24日に変わってから、日本で予約しておいたトランジットホテルにチェックインし、午前6時30分まで6時間過ごし、日本円で1万8000円程度だった。市内へ移動するタクシー代や、ホテルで過ごせる時間の短さなどを考えると、ホテル代が高騰している市内へ出るメリットがなく、空港で0.5泊するようなスケジュールを組んだ。
トランジットホテルをチェックアウト後は、宿泊者が45分使えるホテルのラウンジで朝食をとりながら仕事を進め、その後はターミナル2の中でテーブルがある場所に移って仕事を続けた。
昼ごろになり、入国審査を通ってターミナル1に直結している商業施設「ジュエル」内を散策。それなりに広い施設だが、帰国便の搭乗手続き開始までは9時間以上ある。ジュエル内のシェイクシャックや、ターミナル3のヘブンリーワンなどで食事をしながら原稿を書くなどして、どうにか時間をつぶした。
トランジットホテルはシャワーも浴びられるが、隣室と隔てる壁は薄く、いびきなどはよく聞こえてくる点は、念頭に置いておいた方がいいだろう。
AirJapanの成田-シンガポール線は、どちらかというと訪日客向けの運航スケジュールだ。しかし、日本人にとってもシンガポール以遠への乗り継ぐ場合や、現地滞在の時間を最大化して観光を楽しみたい旅慣れた人にも向いているだろう。
夏ダイヤ最終日10月26日搭乗分まではセール運賃も9月17日まで販売しており、シンガポール線は片道1万9160円(税込)から。セール後の冬ダイヤでも、安い時期は2万円台の設定もあった。私は取材でハワイへ1泊3日など、海外旅行では考えにくい旅程をこなすことが多いが、短時間でも目的が明確であれば思ったよりも楽しめるものだ。シンガポール名物「カヤトースト」も、たとえ空港内であっても現地で食べた方がおいしい。
シンガポールのMRTや路線バスは、クレジットカードのタッチ決済でも乗れるので、気分転換にふらっと出掛けても楽しめるだろう。
関連リンク
AirJapan
搭乗記・AirJapan 成田-シンガポール線
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