エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2024年9月8日 23:50 JST

チャンギ空港0.5泊3日の旅 搭乗記・AirJapan 成田-シンガポール線(前編)

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が、今年2月から運航を始めた新ブランド「AirJapan」。アジアからのインバウンド(訪日客)がメインターゲットで、FSC(フルサービス航空会社)の全日本空輸(ANA/NH)と、LCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)の間に位置づけられている。

成田空港に駐機中のAirJapanの787-8=24年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアージャパンはANAの国際線のうち、アジア・リゾート路線の運航を担ってきたこともあり、現在もANA便とAirJapan便の両方を運航。機材はANAが運航していた国際線用のボーイング787-8型機を転用し、エコノミークラスのみ324席とした。

 AirJapanとしては成田空港を拠点に、2月9日就航のバンコク(スワンナプーム)線、同月22日就航のソウル(仁川)線、4月26日就航のシンガポール線の3路線を運航。中距離国際線が主体で、短距離のソウル線は機材稼働率の向上や乗員訓練といった位置づけといえる。今年8月からは、バンコク線とシンガポール線の機内で、夏の終わりのイベント「空の上の夏祭り」を開催しており、シンガポール線を取材した。

AirJapanのシンガポール発成田行きNQ4便の機内に投影された花火の映像=24年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

AirJapanのシンガポール発成田行きNQ4便の機内に投影された花火の映像とロゴ=24年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 夏祭りの記事はシンガポール到着直後に掲載しているが(関連記事)、今回は搭乗手続きやシートの座り心地などをまとめた。

 8月23日金曜夜にNQ3便(787-8、登録記号JA801A)で成田を出発し、シンガポールには日付が変わる直前に到着。チャンギ国際空港ターミナル2にあるトランジットホテルに6時間泊まり、空港から一歩も出ずに成田行きNQ4便(787-8、JA803A)で25日日曜の朝に戻った。

—記事の概要—
前編
国内線用787より広いシート
Type-CでMacBook Pro充電
後編
搭乗口前コンビニは外国人客で混雑
トランジットホテル1.8万円

国内線用787より広いシート

 成田からバンコクやシンガポールまでの中距離国際線となると、フライトタイムはおおむね6時間から8時間程度。AirJapan便に使用している787-8のシートピッチは32インチ(約81センチ)で、ANAの787で比べると国際線用の34インチ(約86センチ)と国内線用の31インチ(約78センチ)の間となり、東南アジアのLCCで主流の28-29インチ(約71-74センチ)より7センチから10センチ程度広い。

成田空港で出発を待つAirJapanのシンガポール行きNQ3便の機内=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機内に入ると、ANA便に投入していた機材を改修したため、中央ギャレー(厨房設備)があった主翼後ろのL3-R3ドア付近は何もなく、「Cコンパートメント」最前方30列目の座席は足もとがかなり広い。L2-R2ドア付近の「Bコンパートメント」最前方10列目も同じような席で、ANA仕様ではバーコーナーがあった場所だ。

 AirJapanの運賃は、有料オプションを含まない「Simple(シンプル)」、一部席の事前座席指定や預入手荷物といった基本オプションが含まれる「Standard(スタンダード)」、前方席や窓側など人気の高い席の事前座席指定や預入手荷物、機内食などが含まれる「Selected(セレクテッド)」がある。シンガポール線に10月27日以降に搭乗する場合、30列目を指定する際にSelectedは無料で、SimpleやStandardは事前指定料金が1席5000円、航空券購入後の追加料金は6000円になる。

足もとが広いAirJapanの787の30列目からの眺め=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ギャレーを撤去したため広々としたAirJapanの787のL3-R3ドア付近=24年2月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

シートと壁の間に隙間があるAirJapanの787の39列目と40列目=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

AirJapan便に投入するエアージャパンの787-8のシートマップ(同社サイトから)

AirJapan仕様に改修前の787-8のシートマップ(ANAのサイトから)

 また、後方席では39列目と40列目の窓側は2席並びで、ほかの3席並びの場所と違い、窓と席の間に隙間がある。壁を見ると、窓側を通り抜けないよう注意書きが貼ってあった。

 事前に指定しない場合は、チェックイン時に席が自動で決まるため、家族で隣同士といった並びにならない可能性もあり、空港のカウンターでは変更できないため、極力安く搭乗する人以外は、事前指定した方が無難だろう。

Type-CでMacBook Pro充電

 シートは深めのリクライニングが特徴で、Type-AとType-Cに対応した充電用USB端子、タブレットホルダーを用意するが、個人用モニターは未設置。機内Wi-Fiサービスによるインターネット接続は有料となる。

成田空港で出発を待つAirJapanのシンガポール行きNQ3便の機内=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 6時間半ほどのフライトだったが、シートは疲れにくく、座り心地は良かった。私は長距離の国際線でもほぼリクライニングせずに過ごすが、特段不満に感じることはなかった。32インチのシートピッチは国内線よりやや広い数字だが、自席にいて窮屈に感じることはなかった。

 充電用USB端子がType-Cに対応していたので、手持ちのMacBook Pro 14インチ(2021年モデル)を「USB PD(USB Power Delivery)」規格に対応したケーブルでつなげたところ、問題なく充電できた。

 Type-C端子のワット数は27Wと書かれていた。充電スピードはMacBook Proに付属する65Wの電源アダプターと比べて遅くなるが、電源コンセントがなくても機内でノートパソコンまで充電できるのは便利だ。ただし、どんな機種でも充電できるわけではないので、自分が使っている機種が対応しているかは事前に調べておく必要がある。

後編につづく)

AirJapanのシンガポール行きNQ3便の機内=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

AirJapanのシンガポール行きNQ3便の機内=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スマートフォンやタブレットで動画を視聴できるAirJapanの787のスタンド=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

AirJapanの787はType-A(上)とType-Cの充電用USB端子を備える=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

AirJapanの787はType-C(下)とType-Aの充電用USB端子を備える=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

AirJapanの787のテーブルに置いた14インチのMacBook Pro=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

シンガポールのチャンギ空港に着陸するAirJapanのNQ3便=24年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

運航スケジュール
NQ3 成田(17:35)→シンガポール(23:55)運航日:月木金土日
NQ4 シンガポール(00:55)→成田(09:10)運航日:月火金土日

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