エアライン — 2024年8月12日 21:16 JST

JAL鳥取社長「人の人生を狂わせてしまった責任感じた」慰霊の園で39周年追悼慰霊式

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 日本航空123便墜落事故で乗客乗員520人が亡くなり、39年が経った8月12日夜、墜落現場となった群馬県多野郡上野村の追悼施設「慰霊の園」で、39周年追悼慰霊式が開かれた。

慰霊の園で取材に応じるJALの鳥取社長=24年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 日本航空(JAL/JL、9201)の鳥取三津子社長は、「御巣鷹山には何度も行っているが、8月12日は初めてだった。社長としての原点が8月12日だ」と、改めて安全を第一とする経営を進めていく考えを示した。

 鳥取社長は、1985年4月に客室乗務員として東亜国内航空(TDA、のちにJAS、現JAL)に入社。JALの成田第2客室乗員部部長や客室安全推進部部長、客室本部長を歴任し、2022年4月に常務執行役員 客室本部長、2023年4月から専務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、同年6月からは代表権のある専務務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、グループCCO(最高顧客責任者)を務め、今年4月に社長に就任した。

 事故当時を知る現役の役員や社員が少なくなる中、「多くの社員がいることで継承が難しいことを理解し、現地・現物・現認の三現主義を続けていきたい」と、御巣鷹山を通じてJALグループの安全意識の徹底を進めていく。

 12日昼に、御巣鷹山の山頂付近にある「昇魂之碑」を訪れた鳥取社長は、何度も深々と頭を下げた後に献花した。

 「人の人生を、ここまで狂わせてしまった責任を感じながら昇魂之碑の前に立った」と述べ、「二度と起こさないのは当然で、(言葉で)語るのは簡単だ。不安全事象だけが(事故の)兆候ではないのではないか。もっと違った別の要素があるかもしれないので現場任せにせず、経営が異変や兆候に気づけるよう、私が先頭に立ってやっていく」と決意を新たにした。

御巣鷹山の「昇魂之碑」に深々と頭を下げるJALの鳥取社長(同社提供)

御巣鷹山の「昇魂之碑」に線香を手向けるJALの鳥取社長=24年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JL123便墜落時刻の午後6時56分に参列者が黙とうを捧げ犠牲者数と同じ520本のろうそくがともされた慰霊の園=24年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 慰霊式は午後6時から開かれ、JALからは鳥取社長のほか、赤坂祐二会長や青木紀将副社長、安全推進本部長とご被災者相談室長を務める立花宗和常務らが参列した。

 1985年8月12日午後6時56分に墜落した羽田発伊丹行きJL123便(ボーイング747SR-100型機、登録記号JA8119)には、乗客509人と乗員15人の524人が乗っていた。式典では犠牲者の数と同じ520本のろうそくに火がともされ、墜落時刻の午後6時56分を迎えると、参列者が黙祷(もくとう)をささげた。

 御巣鷹山の慰霊登山者数は、68家族230人で、昨年より8家族42人少なかった。追悼慰霊式には、遺族や関係者など158人が参列した。

*御巣鷹山の様子はこちら

慰霊の園で献花するJALの赤坂会長(左)と鳥取社長=24年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園で献花し深々と頭を下げるJALの鳥取社長=24年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園で献花したJALの鳥取社長=24年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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